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2004/06/22

米大統領選の決定的要因は「信仰」?

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   【TIMEアメリカ版June21、'04表紙】

 アメリカの大統領選の動向は、真っ二つに割れている。どちらが制するか。それを決めるのは、イラク問題ではなく、アメリカ経済の好不調でもなく、信仰の問題だと、週刊誌TIMEの記事”The Faith Factor" が論じている。長い論説のさわりを紹介しよう。

 キリスト教信仰を前面に出して、政治的にいいか悪いかよりも、ゴッドの声に聴き従ってどうすべきかで、大統領としての決断をするというブッシュ。自らはカトリック信者でありながら、信仰は個人のレベルの問題として、リベラルを中心とする醒めた人々を結集しようとするケリー。

 ブッシュを支持するのは、信仰を生きていくのに一番大切なこととする熱心なキリスト教信者や、宗教にもとづく倫理を重んじ、不信心がモラルの低下を招いていると考える人々。ケリーを支持するのは、信仰が政治の領域に関わることを苦々しく感じ、偏狭な信仰心が自由を抑圧しかねない、政治や経済の事柄は、それ自体としてしっかりした資質のある人に任せるべき、と考える人々。

 TIMEはこの特集にあたり、2週間前に世論調査を行ったという。大統領は政治を行うにあたり、信仰によって導かれるべきと考えるか、と問われて、共和党支持者の70パーセントは yes と答え、民主党支持者の63パーセントは no と答えている。ほぼ同じことだが、ブッシュの支持者の85パーセントは、信仰がブッシュを強いリーダたらしめていると考え、ケリー支持者の65パーセントは、ブッシュの信仰が問題で、それが彼を狭量な考えの持ち主にしている、と考えている。

 アメリカは、そもそも信仰の自由を求めて新世界に渡ったピルグリム・ファーザーズを建国の祖とする国である。歴代の大統領は、程度の差こそあれ、熱心なキリスト教徒であることを表明せずして選挙に勝つことはできなかった。しかしブッシュほどキリスト教信仰を政治に絡めて前面に押し出した人はいない。そのことが、信心深い人たちを政治参加に駆り立てる働きをしたが、他方では信仰と政治を絡めすぎ、信仰の問題で政治が支配されるという状況を創り出してしまった。イスラム国家をのぞけば、アメリカほど国のあり方と宗教が密接に結びついた国はない。また、多様な宗教、キリスト教の諸派や他のもろもろの宗教が、共存している国はない。ブッシュの信仰を前面にしたキャンペーンが、国論を二分させ、国民を黒か白かの踏み絵へと追いやっている。

 先日亡くなったレーガン元大統領をしのんで、その子ロン・レーガンJr.が語った言葉をTIME記事は紹介している。レーガンは、信仰深かったけれども、慎み深かった、として

 『彼は信仰をふりかざして政治的支持を得ようとするような致命的政治ミスを犯さなかった。暗殺未遂で命拾いしたのは、神様のおかげだと信じた。だがそれは、大統領としての責任を果せと命を救われたのであって、ゴッドの命令に従えというふうにはとらなかった。』

と、大統領の個人的な信仰と、政治との思慮深い距離の取り方の例を示唆している。

 別の側面として、教派と政党支持の関係が流動化していることをTIME記事は伝えている。これについては、あらためて書くことにしよう。

 ブッシュとキリスト教、特に原理主義キリスト教との結びつきの危険な傾向については、私のHP本館で、何度も書いてきた。以下を参照されたい。

 なぜアメリカはこんなにおかしいのだろう
 クリスチャン連合
 ブッシュの信仰と政治
 「聖書がわかればアメリカがわかる」だって?

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