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2004/07/19

NYタイムズ、読者に不明を詫びる

 米国がイラクへの侵略戦争をはじめる根拠となった大量破壊兵器情報が、でっち上げともいうべきものだったことが、米上院情報特別委員会の報告で公式に認められたこの段階で、NYタイムズは謝罪の社説を掲げた。イラク開戦前に、大量破壊兵器など存在しない可能性があることを指摘できなかったのは、当時の米国内の集団思考に囚われていて、間違っていた、と述べている。NYTimes(04/7/16): Editorials:A Pause for Hindsight

 NYタイムズは、開戦に反対の論調を張ってきた。ただそれは国際社会の協調なしに一方的先制攻撃をすることに反対したのであって、大量破壊兵器をフセインが持ち、それが脅威だとすることにおいては、ブッシュ大統領と同じ考えだった。その点での大統領の過ちを早期に見抜けなかったことを、不明だったとして読者に詫びている。

 すこし社説を抜き書きして読んでみよう。

And we should have been more aggressive in helping our readers understand that there was always a possibility that no large stockpiles existed. But we do fault ourselves for failing to deconstruct the W.M.D. issue with the kind of thoroughness we directed at the question of a link between Iraq and Al Qaeda, or even tax cuts in time of war. We did not listen carefully to the people who disagreed with us. Our certainty flowed from the fact that such an overwhelming majority of government officials, past and present, top intelligence officials and other experts were sure that the weapons were there. We had a groupthink of our own.

(大量破壊兵器の)大量備蓄などない可能性に読者が気づくよう、もっと意欲的な論陣を張るべきだった。イラクとアルカイダとの間につながりがあるか、戦中だというのに減税が妥当なのか、などについては徹底的に論じたのに、大量破壊兵器の問題を分析・解体することができず、過ちを犯した。兵器の存在について反対の意見を持つ人々のいうことを注意深く聴くことをしなかった。政府の関係者や情報の責任者、専門家たちの圧倒的多数が、確かに兵器があるとしたことから、私たちも確信を持ってしまったのだが、今となって考えてみると、私たちも集団思考に囚われていた。

By the time the nation was on the brink of war, we did conclude that whatever the risk of Iraq's weaponry, it was outweighed by the damage that could be done by a pre-emptive strike against a Middle Eastern nation that was carried out in the face of wide international opposition. If we had known that there were probably no unconventional weapons, we would have argued earlier and harder that invading Iraq made no sense.

 戦争の瀬戸際に立ったとき、イラクの大量破壊兵器の脅威があるにしても、広範な国際社会の反対をおして、中東の一つの国に先制攻撃をおこなうことによるダメージの方が重大だと、NYタイムズは論じた。もし非通常兵器などたぶんないと知っていたら、もっと早期に、もっと強い調子で、イラクを侵略することはナンセンスだと論じたはずだった。

 NYタイムズのこの潔い謝罪は、ジャーナリズムとして良心的だと思う。なお、この社説のことは、ときどき読むブログ:rc3.org Daily:NYTimesのmea culpa(私の過ちのせい)の指摘で知った。ソフトの開発者である Rafe Colburn に感謝。

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