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2004/07/28

ボランティア解放の身代金返還を求めるオランダ政府

オランダが「国境なき医師団」提訴 身代金返還求める(朝日新聞04/7/28夕刊)によると、2年前にロシアの北コーカサス地方(ロシア連邦ダゲスタン共和国)で誘拐されたオランダ人ボランティアが、オランダ政府の努力で解放された、その際誘拐グループに渡した身代金(1億3千万円)を、ボランティアが所属する「国境なき医師団」に立て替えたのだから、返せと要求しているという。

 「国境なき医師団」は、紛争地域などに医療スタッフを派遣している医療援助団体である(現在80カ国に年間3千人の医師・看護婦を派遣している)。99年にはノーベル平和賞を受賞した国際的にもよく知られたNGOである。

 この件の経緯は、上記HPのプレスリリースに載っている。オランダ人のスタッフ、アルヤン・エンケルは2002年8月に誘拐され、その後オランダ政府が、ロシア政府に働きかけたりしたが、ロシア政府は冷たく、オランダ政府も手の打ちようがないまま時間が過ぎたようだ。今年の4月、やっと解放にこぎつけると、オランダ政府は大々的に自国民の解放を国の責任でやったと宣伝。ところが裏で身代金を支払っていたことが、フランスのルモンド紙にすっぱ抜かれたとたんに、「国境なき医師団」に立て替え払いだったから返せと言い出したらしい。交渉に当たって政府とNGOとの間で立て替え払いなどの約束はいっさいなかったと、NGOは主張している。

 援助活動家がこのような目に遭うことは、最近のイラクに限らず、世界各地で頻発している。企業の人間なら解放の交渉を企業かその代理者が行い、莫大な身代金を支払うこともあるだろう。今回のようなボアランティアの場合どうするのか。国連安保理では、各国が援助活動家を保護するようにとの決議をしているらしい。

 最近日本でも「自己責任」を問うたり、費用の弁済を求めたりしたことがあったが、人道支援を行うボランティアは貴重な存在である。国や国連ができないことを、命の危険までおかしてやっている人たちである。その活動はサポーターによる義捐金で支えられている。「国境なき医師団」は、大きな組織で財政的規模は大きいだろうが、現在最も必要とされている活動資金(現在はスーダン内戦に関する援助が緊急の課題となっている)を身代金などに持って行かれるのはかなわないだろう。

 報じられているようなオランダ政府の態度は、危険な場所でこそ必要とされている医療・人道援助を阻害しかねない。国としてはしたない行為ではないか。

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コメント

散人さんのところから来ました。

この事件については、ロシア当局自身が誘拐に関わっている可能性があります。

"誘拐の夜、エルケルは連邦保安局(FSB)の工作員2人に尾行されており、誘拐されたときにも彼らはその場にいた。"

http://www.msf.or.jp/news/news.php?year=2004&id=2004031901&key=arjan

だとすれば、MSFに救出費用の請求をするオランダ政府の行いは北朝鮮の拉致被害者に救出費用を請求するようなものではないでしょうか。

投稿: Lina | 2004/07/29 09:12

Linaさん、コメントありがとうございます。誘拐はチェチェンの隣のダゲスタンで起きたもので、解決までの冷淡な姿勢を含め、チェチェンに対するロシア政府の抑圧的な姿勢と繋がっているのでしょう。引用された「国境なき医師団」のプレスレリースの最後に以下のように書かれています。
『北コーカサス地方におけるMSFのプログラムは、チェチェンで今も続く残忍な紛争の被害を受けている一般市民へ医療援助を届けることに焦点を当てている。MSFはこの地方で活動を続ける数少ない人道援助団体のひとつであったが、アルヤン・エルケルの誘拐によりダゲスタンでの活動を中断し、チェチェン、イングーシでも活動を大幅に縮小せざるを得なくなった。ロシア政府は人道援助活動家を尊重するべきであり、各国政府もまた、助けを必要としている人々の傍らで援助活動家が働けるよう、その権利を積極的に守るべきである。残念ながらこのことは今日実現されておらず、日々虐待や暴力の犠牲となり、援助もなくますます見捨てられた状態に置かれるチェチェンの人々の苦境を、欧米各国の政府がいかに無視しつづけているかを物語っている。』

投稿: アク | 2004/07/29 10:11

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