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2004/07/28

奥さんを亡くし「体の半分なくなった」と吉田秀和

音楽評論家の吉田秀和はずっと書き続けてきた朝日新聞の「音楽展望」を休んでいる。90歳にもなったのだから無理もないのだが、その元気な姿を水戸芸術館のコンサートでは見かけている。つい先日の小沢征爾指揮の水戸室内管弦楽団の定期演奏会でも、毎回指定席のように決まっている中央後方寄りの席に白髪で品のいい姿を見せていた。なぜ休筆しているのだろう、と思っていたが、今日の朝日新聞夕刊に近況を書いている。昨年11月に奥さんを亡くし、「いまは体の半分がなくなったよう」な気持ちで過ごしているという。

 奥さんはバルバラ吉田クラフト。ドイツ生まれで日本文学の研究者であり、日本文学のドイツへの紹介に努めた人である。吉田秀和が戦後早い時期にヨーロッパに音楽遊学の旅に出て知り合った。中国文学を専攻していたが、中国に行けない。それで日本に来た。吉田と結婚し、それからは日本文学の研究とドイツ語への翻訳の専門家となった。分野は違うが文化の領域に専門を持つものとして支え合ってきた。

 バルバラさんは、晩年は永井荷風のドイツ語訳に取り組んだ。「ぼく東綺譚」を出版し、「断腸亭日乗」の翻訳を進めていた。骨盤のガンに冒され、余命がないことを知り、「日乗」の1937年の分(日本が戦争に突き進む決定的な時期に荷風は何を考えていたか、という意味で重要だと)を訳し,校正段階だったが、本の形になるのも見ずに亡くなった。76歳だった。

 ずっと生活と仕事を半々で過ごしてきたが、奥さんがいなくなって、生活の負担が増え、いまは仕事は休業しているといっているが、良きパートナーをなくしたことで気力を失ったらしい。体の半分がなくなったような気分だといっている。よほど愛妻家だったのだろう。水戸芸術館の館長、水戸室内管弦楽団の総監督の仕事は続けているようだ。

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» [ひと]吉田秀和氏「音楽展望」休載へ [mayumism - オペラ・オペレッタ訳詞家の書斎]
7/28付の朝日新聞夕刊に載ったそうですね・・・。昨年末に奥様を亡くされ、心の空白を埋められないとの理由とか、おいたわしい限りです。 >< [続きを読む]

受信: 2004/08/04 23:02

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