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2004/07/05

『再処理工場の運転凍結を』との朝日の社説

『再処理工場の運転凍結を』と題する、04/7/5の朝日新聞社説は、このところ私がこのblogで書いてきたことと同趣旨である。原発の使用済み燃料を再処理するか、そのまま埋めるか。そのコスト計算が10年も前にできていたが、その資料を今日まで隠蔽していたことを責めている。非公開とした当時の状況については責められるべきだが、資料はおそらく忘れられていたのだろう。隠蔽とまで責めなくてもいい。ただし現時点であらためてコスト評価を客観的に行い、その結果次第で、再処理工場の運転凍結をするのがいいだろう。

 社説によると、

 94年当時、「サイクル路線はコストが高い」という見方が広がり、サイクルから撤退する国も出ていた。国内でも旧通産省内でサイクルへの疑問が生まれ、推進派の旧科学技術庁とは足並みが乱れていた。今回の試算結果を論議した政府の会議でも、結果を公表してもいいとする通産省に対し、科学技術庁や電力業界は「社会が混乱する」と反対した。

とある。そのような政府部内の意見対立があったのだろうか。今回の一連の動きに、経済産業省のサイクル路線見直し論への傾斜が感じられる。前回も書いたが、お役所らしい情報操作の臭いがして嫌悪感を覚える。しかし、経産省が現実路線に転じようととするなら、それ自体は歓迎したい。

 当時、試算が公表され、コストがきちんと論議されていたら、日本の原子力政策は違っていたかもしれない。そう考えると、資料隠しの罪はきわめて重い。

10年前、再処理工場の着手以前に、核燃料サイクル路線の是非が議論されていれば、とは思うが、時期尚早だったかもしれない。しかしその後、高速増殖炉原型炉もんじゅの挫折、国際情勢の変化などがあって、平成12年の原子力長期計画の際には見直しがあり得たが、何もなかった。そして今回の改訂作業を迎える。まだ遅くない。

 資料隠しが発覚した後も、政府は核燃料サイクルが必要との姿勢を変えていない。原子力委員会がコストの論議をしようとしている一方で、サイクルの開始へ向けた手続きは着々と進んでいる。
 六ケ所工場では、今夏のウランを入れる事前試験に続き、来年には本物の使用済み燃料を使った試験が予定されている。とくに使用済み燃料を入れると、機器が強い放射能を帯び、サイクルの後戻りができなくなる。
 少なくとも一連の試験はしばらく凍結すべきだ。その間に将来の方向をじっくり考えればいい。「一度決めた路線だから」と惰性で進めるのでは、さらに信頼を失うだけだ。

筆者の主張してきたことである。

 もう一つ付言しておく。この問題が、政治の場で取り上げられないことが、日本の原子力を民主主義の原則の下に進めるたに、たいへん不幸なことだと思う。自民党の中で河野太郎衆議院議員がサイクル見直しを言いはじめた。朝日新聞の「私の視点」にも、「負担重い再処理は中止を」との、思い切った主張が掲載された。しかし、その後政調会部会のの議論でつぶされた。一方、民主党は、電力や重電機メーカーの労組の支援を受けているためだろう、原子力問題への取り組みを避けている。

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