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2004/09/11

9/11と二日酔いの思い出

 3年前の9月11日の衝撃を、きわめて個人的な思い出とともに、鮮やかに記憶している。当日、9月11日一日を、私はそれまでに経験したことのないひどい二日酔い状態で過ごしていた。前日、すでに退職していた私に、以前の仲間からの誘いがかかった。みんなで久しぶりに集まって飲むのだが、銀座の行きつけだった飲み処へ出てこれないかと。ちょうど東京に出ていたのだが、音楽会へ行く予定があった。チケットを無駄にできないと、それを済ませて、遅くなってから飲み会に駆けつけた。座はすっかり盛り上がっていた。私は急ピッチで飲みながら、みんなの話題に追いつこうとした。いつのまにか、それは毎度のことだったのだが、私は誰彼をつかまえて、がんがん議論しまくっていた。そうなると、話のほうに夢中になってしまい、手はグラスを口に運ぶ自動マシンになってしまう。好みのワイルドターキーの水割りが、ひどく濃かったのをあとから思い出した。どういう具合に四谷の自宅に帰りついたのか、覚えていない。多分深夜の2時か3時、タクシーで送り届けられたのだろう。

 私は酒に強い方である。めったに二日酔いになることはない。最も激職にあり、かつ夜の付き合いの多かった頃に、年に一二度、これが二日酔いかな、と思った記憶がある程度である。ところがこの日だけはひどかった。朝はおろか、昼になっても”死んだ”状態だった。夕方、もう一つ別の観劇のチケットを買ってあったのだが、とても出かけられる状態ではなかった。息子に急遽連絡して、ワイフと一緒に行ってもらった。水分補給と毒気を抜くためにとスポーツドリンクを飲んでは、結局は吐いてしまうという繰り返しで、すっかり弱り果て、朦朧として眠っているのか起きているのか、その境目をさまよいながら、時期が来るのを待つしかなかった。夜、ワイフと息子が帰ってきたときも、まだ青息吐息、何も食べずにベッドでうつらうつらしていた。

 帰ってきたワイフがつけたテレビが、ニューヨークのWorld Trade Center のツインタワーが煙を出している映像を映していた。「大変なことが起きているらしいよ」という声を、夢うつつで聞いた。余りの騒ぎに、薄目をあけてちらりと見たが、何かSF映画でもやっているとしか見えなかった。ジェット旅客機がビルの壁に吸い込まれるように入っていく映像を繰り返し映していた。それは半覚醒の頭脳には、とても現実のこととは思えなかった。

 ビルが崩壊する映像が映し出される頃、やっと体を起こしてテレビを正視できるようになった。美しい青空を背景に、猛然と煙を上げているビルの姿は、美しくもあった。それが突然崩壊を始めた。なんでこんなことが起きるのだ。まだ夢を見ているのだろうか。見ている映像は、私の知っているマンハッタンで、リアルタイムに起きていることと信じられなかった。はじめに崩壊した第2タワーに続いて,まもなく第1タワーも崩壊した。

 その映像は繰り返された。ペンタゴンも攻撃を受けたと報じられた。何かとんでもない終末的なことが起きているように思えた。何時まで起きていたのだろう。明け方近くまで映像をぼんやり眺めていた。二日酔いから醒め、起きた事柄を知り、考えようとし始めたのは、翌日のことだった。有り体にいえば三日酔い状態からやっと目覚めたのだった。歴史的に未曾有の出来事が、私的にも未曾有の二日酔い状態の日に起きたのだった。これを境に、世界が大きく変わることになったその日のことを、自分に起きたこととともに鮮烈に記憶している。

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