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2004/09/28

オオカミは、いるだけで効果がある

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 04/7/26に書いたブログ・エントリオオカミと森の生態系の補足をする。日経サイエンス04/9月号の記事などを参照して、オオカミが生態系の回復に役立つことを書いたのだった。アメリカのイエローストーン公園で、一度は絶滅したオオカミを再移入して増やしたところ、増殖しすぎて悩みの種だったエルク(大型の鹿)が減り、植生が回復し、生態系が元に戻りつつある、とのことだった。

 National Geographic 10 月号(地球新発見「オオカミと自然」)によると、エルクが減ったのではなく、オオカミがいることで、エルクが用心深くなり、エルクの行動が抑えられ、その結果、植生が回復したのだという。オオカミの群れが、エルクをどんどん捕食する血なまぐさいシーンを想像して、それがいいことなんだ、と考えなくてもいいようだ。さすがは、オオカミ。いるだけで役に立つのだ。

 前回のエントリで引用した日経サイエンスの記事では、1990年に2万頭まで増えたエルクが、1995年に14頭、翌年17頭のハイイロオオカミを移入したら、現在1万頭以下になったと書いてあった。少数頭のオオカミが捕食するだけで、そんなにエルクが減るのか、いささか疑問だった。約10頭からなる群れが16あるのだという。一つの群れは平均一日一頭のエルクを捕食すると推定していた。単純に計算すれば、年5800頭のエルクが犠牲になる。食べられる一方なら、計算は合うが、一方エルクは繁殖する。オオカミの補食数も多く見積もりすぎだ。5年で一万頭とは、減りすぎだろう。

 ナショジェオによると、オレゴン州立大学の二人の教授が調査したところ、エルクの数はあまり変化していない。しかし、植物はたしかに繁茂している。「オオカミに対する警戒心によってエルクの行動が変化し、その結果、植物が回復している」というのが彼らの観察結果だ。

「オオカミに襲われる危険性が高い場所ではエルクは用心深くなり、長居しません。以前ならエルクに食べられていたハコヤナギなど川岸に育つ植物が、今ではのびのびと成長しています。」

 日経サイエンスにも登場していたオオカミプロジェクトのリーダー:ダグ・スミスが、こちらの記事にも出ていて、上記の二人の教授の意見に同意している。オオカミがエルクの行動を抑え、そのことで生態系が回復した、と認めている。そして彼は、肉食獣を頂点とする自然のままの生態系を維持することがきわめて大事だ、と強調する。クマ、イノシシ、鹿、猿などが増えすぎて問題を起こしている日本の自然の場合、どのようにしていったらいいのだろうか。 

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