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2004/09/02

香月泰男展@水戸

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シベリア抑留生活を、独特の表現で描き続けた香月泰男(かづきやすお)の没後30年を記念する大規模な展覧会『香月泰男−〈私の〉シベリア、そして〈私の〉地球』が、水戸に来ている。よく知られている「シベリア・シリーズ」は、全点を所蔵している山口県美術館ですら、一度に全部を展示できない。その全点を含めて、戦前の作品、戦後のシベリア以外の作品を含めて、おもちゃや陶器まで、170点が展示されている。圧倒されるような充実感だ。じっくり見るなら3時間はかかる。

 立花隆は、この香月に特別思い入れがあり、長年にわたり書いてきた香月論を『シベリア鎮魂歌−香月泰男の世界』と題して出版したばかりであるが、そこで、香月の「シベリア」は画集で見るだけでなく、実物を見るべきと言っている。なるほど、見てみると分かる。木炭を混ぜて厚く塗り固め、さらにその上に色を載せた絵画は、レリーフのように立体的凸凹感があり、さらにその質感は、実物でなければ到底味わえない。

 そういいながら、ここに転載したのは、『復員〈タラップ〉』の部分(全画面の4分の1ほど)である。シベリア・シリーズには作者の文章が添えられている。そこには、

 1947年5月21日、早朝から甲板に出ていた。眼帯をかけた眼に故国の新緑が水平線の上にかすんで見えた。暗い4年間の抑留生活に訣別の思いをこめてよごれきった不用のもの(日本では)を海に投げ捨て、引揚船「恵山丸」のタラップを降りた。

とある。それまでのシベリア・シリーズでは、抑留兵たちはみな、黒のバックにくぼんだ眼窩と高い頬骨を強調した表情で描かれていたのに対し、ここではじめて開かれた目が書き込まれているのが印象的だった。

水戸では9月12日まで、そのあと金沢(9/25-10/24)と静岡(11/2-12/12)で開催される。このようなものはまたと見られないのではないか。観覧をおすすめする。

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コメント

香月泰男の水戸展の様子、興味を持って見ました。小生の「日月抄」にも紹介させてもらいました。彼の「シベリア・シリーズ」は是非見たいと思っていましたが、・・。産経抄では彼の作品「朕」について批判を述べていますが、それに対する一寸した反論を書いて見ました。立花隆の香月論は彼がシベリアの現地にまで行き取材した力作のようです。是非読んでみたいと思っています。

投稿: | 2004/09/06 10:35

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