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2004/09/08

ロシアがチェチェンでやっていること

040908Chechnya.jpg

 ロシアのコーカサス地方、北オセチア共和国の小学校で起きた事件は、多くの幼い小学生をターゲットにした残酷なものだった。要求を掲げて交渉するという態度もなく、多くの犠牲者を出すこと自体が目的だったと見られる。事件を起こしたチェチェンのテロリストへの非難が高まっている。しかし、この事件を考えるとき、ロシアがチェチェンにどのように極悪非道なことをやっているか、それがチェチェン人にどんなに耐え難いものであるかをあわせて考えないと、判断を間違うと思う。

 ここに転載した写真(クリックすると拡大した画像を見ることができます)は、チェチェンの首都グロズヌイの大統領官邸前の状況である。1995年3月に撮られたもので、広河隆一編集の「Days Japan」04年9月号に出ている。現地の惨状を生ま生しく伝える多くの写真が出ている。林克明(この人のチェチェンに関する本はここ)が記事を書いている。ごらんになることを奨めたい。

 北コーカサス地方は、帝政ロシア時代から始まって、ソ連時代を通じて、ロシア人の徹底した支配と搾取を受けた。それにもっとも強く抵抗し続けてきたのが、この地方の小国チェチェンである。ソ連解体後、独立を宣言したチェチェンに、ロシアは94年12月軍事侵攻し、国土を徹底して破壊し尽くした。上の画像は、その破壊がどれほどのものだったか、人々はどんな絶望の中にあるかを教えてくれる。20万人が殺されたという。人口わずか70〜80万人の国である。4人に一人は殺されている。その後、この数はもっと増えている。傀儡政権を立て、日常的に住民を略奪、逮捕、拷問、処刑している。

 ロシアという国が公然とやっている信じがたいほどの人権侵害である。西側諸国はこれを非難していたが、9/11以降、テロリストとの闘いが正義となり、ロシアのやっていることは黙認されている。

 モスクワの劇場占拠、最近の同時航空機爆破、そしてこの事件と、無差別の被害者を出すテロ行為そのものは是認できない。しかし、彼らの止むに止まれぬ状況を理解することが大事だろう。アメリカのイラク、イスラエルのパレスチナ、そしてロシアのチェチェンと、力だけではテロは決して収束しない。国土をチェチェンの人々に返してあげること以外に、どんな出口があるのだろうか。

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コメント

TBを頂き、ありがとうございます。
ただ、意図がよく分からないところもありますので、「私がチェチェン紛争を理解していないのではないか?」ということでTBを頂いたのではないかとの想定の元で、補足をしておきます。

チェチェン紛争を理解していないわけではありません。
元々、チェチェンは強引に併合された地域であり、1991年の独立宣言を認めず、停戦協定で独立問題を2001年まで先送りし、1996年のタゲスタン侵攻で再び火がつき、9.11以降ロシアがテロのレッテルを貼ったという、どちらかというとソ連が悪人の紛争です。

私のエントリーの軸足は、チェチェンがテロで悪とか、ソ連が悪とかそういう観点にはなく、ソ連の軍事力には「話し合い」は紛争解決手段にならず、チェチェンは「軍事力」で対抗したという事実、そして今回の事件で実行部隊の一人に向けられた13歳の少年の「言葉」は無力だったことを見て、紛争は「話し合い」で解決できる、そして「軍事力」は不要でこの世から無くせるといった、blogのエントリーに「真実」が見えないということへの疑問です。

投稿: 呟く者 | 2004/09/08 18:28

呟く者さん
コメントありがとうございました。

(お宅のブログにお伺いして、コメントを書いてきましたが、我が方の読者のために、同文をこちらにも書いておきます。)

トラックバックにコメントをいただきましたので、こちらに書き込みに来ました。あなたの書かれた趣旨は分かった上で、今回の事件に関して、深く問題意識を突きつけられて考えておられることに、共感を感じて、tbしたつもりです。
ただ、問題の立て方、考えの進め方が、論理的であろうとしておられるのでしょうが、形式的かな、という感想は持ちます。
軍事力で解決できるか、話し合いで解決できるか、の二者択一でないことはもちろんですが、どちらに傾くか、それもケースによるでしょう。テロリズムは、その原因をねばり強く取り去る努力をしなければ解決できないでしょう(特にチェチェンの場合)。個々の事件については、まずはそのようなことが起きないように予防する、起きたら人命重視を基本に武力制圧を含めた現実的対応をするしかないでしょう。今回のロシアと現地自治体の対応は非常にまずかったように思えます。

投稿: アク | 2004/09/08 20:51

アクエリアン様こんにちは!!!
また、TBを頂まして、ありがとうございました。
こちらのブログ及び、HPを拝見させていただきました。非常に、勉強になりました。
共感する箇所も多く読みやすかったです。また、是非お伺いできればと存じます。
それでは、失礼します。

投稿: 鈴木信夫 | 2004/09/11 13:56

鈴木信夫さん、こんにちは。
読んでいただいてありがとうございます。
tbしたブログを記録し損なっていまして、どちらであったか、思い出せなくなっています。できればコメント時にURL欄に書き込んでくださるとありがたいです。お名前にリンクがつきます。

投稿: アクエリアン | 2004/09/11 15:52

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