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2004/10/31

中国の善隣外交をカラコルム・ハイウェイに見る

 パキスタン北部地域への旅で親しくなった、パキスタンの現地ガイド、サラフディーンさんにあれこれとパキスタン事情を聞いたなかで、こんな質問をぶつけてみた。パキスタンの一般の人からみて、一番好きな国、嫌いな国はどこかと。即座に帰ってきたのは、一番好きな国は、間違いなく中国だ、との答えだった。米国は今一番関係が深く、大事な国だと皆思ってはいるが、同時にイスラムの敵だ、という点で好悪が半ばして、複雑な気持ちを抱いている。日本は、車や電気製品がいっぱい入ってきていて、アジアの進んだ国として、みんな好感を持っている。かつての宗主国イギリスは、今では影響力もなく、遠い国に過ぎない。ただ金持ちの子弟が海外に勉学に行くとなると、イギリスを選ぶ。ロシアには格別の好悪はない。

 嫌いな国となると、対立関係にあるインドとの答えを予想していたのだが、インドには、宗教こそ違え、同胞という親近感が強いという。何度か戦火を交え、カシミール問題で対立しているが、それを乗り越えて、経済的に協力できるようになることをみな望んでいるらしい。今は特別な用務の人でない限り、相互訪問はできないというのにだ。そこで嫌いな国といえば、間違いなくイスラエルということになるらしい。連帯意識を持っているイスラムのパレスチナ人に対してひどいことをしているから、と。

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2004/10/27

フンザの朝

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 昨日、パキスタン北部、フンザへの旅から帰ってきました。パキスタンという国も、フンザという特別な土地も、そこへ辿りつくのにとおったカラコルム街道沿いの荒涼とした風土も、期待した以上のものがありました。おいおい印象や画像をお目にかけるつもりです。今日(26日のことですが、このエントリを掲載するのは翌日のことになるでしょう)は一日、撮影してきた2千数百枚のデジタル画像をパソコン上で選別する作業をやっていました。そんなことで、現在、気分はフォトグラファー、でして、いろいろと感じたり、考えたりしたことを、まとめて書くのは棚上げ状態です。とりあえず、フンザ風景をお目にかけます。

 晴天が期待された朝、暗いうちにジープでビューポイントに登り、日の出を待ちました。ウルタル、ラカボシ、ディランなどの7千メートル級の山々が朝日を浴びて輝く姿は、何か神々しいものでした。上にお目にかけるのは、ビューポイントから見た、フンザ・カリマバード村の朝の風景です。左遠くに見えているのがラカボシ(7788m)です。そのさらに左画面外にディランが、また画面右外にウルタルの連山が続きます。そのパノラマを見ている自分の影が近くの岩に映っています。

 フンザの中心カリマバードは、これらの山々に囲まれた狭い盆地にあり、最近近代化の波が押し寄せたとはいえ、依然として浮世離れした感のある生活が営まれています。その様子はそのうちにお伝えしましょう。

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2004/10/14

10/25までフンザへ旅行中

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(朝日新聞社刊:「世界100都市#49」から転載。クリック→拡大)

ネットもメールもできない場所に旅しています。しばらくブログはお休みします。

上の画像は、フンザの中心カリマバードの風景。白い山はラカボシ(7788m)。中央を流れるのがフンザ川(インダス川の源流のひとつ)。

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宮本輝『草原の椅子』

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 フンザへ旅に出ることを決めたあと、ふとしたことから、この宮本輝の小説(1999出版)がフンザを舞台にしていることを知り、読んでみなければと思った。フンザとはどこか、どんなところか、あまり知られていない。フンザについてふれた紀行、歴史、民俗のたぐいの本もほとんどお目にかかれない。フンザを舞台にした小説があるなんて、うれしいことだ。

 小説は、フンザの村落で、主人公遠間憲太郎が予言者の老人に出会ったところから始まる。憲太郎への予言はこうだった。

 あなたの瞳の中には、三つの青い星がある。ひとつは潔癖であり、もうひとつは淫蕩であり、さらにもうひとつは使命である。
 珍しい星だ。

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2004/10/12

原油価格が高騰を続けている

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 先日、石油生産はピークを越えつつあるを書いたばかりだが、その後も価格上昇が続いている。現在54ドルを超えているそうだ。12日朝NY取引所では1バレル54.10ドルとなった。(産経Web04/10/12 19:01NY原油、54ドル突破 高値更新、供給不安が拡大

 石油価格は過去3年着実に上がり続けている。以下に示す原油価格の年変化のグラフはKelvin Drum の Political Animal (石油価格は上がり続けている)から転載したものである。

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 彼が引用して書いているところによると、現在は供給が需要をまだ1%上回っている。これが逆転して供給が需要を1%下回るようなことに、2005年後半のある時期になりそうだという。そうなるとどんなことが起きることだろう。価格は暴騰し、50ドルですんでいた時代を懐かしく思いおこすようなことになるのではないか、と書いている。

 最初の画像は、D.Goodstein が石油時代終末の到来が近いことを警告した近著の表紙。紹介はいずれ。

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2004/10/09

再処理優位へと舵取り:原子力長計策定

 日本の原子力発電の路線が、既定方針通り、再処理→プルトニウム利用(当面プルサーマル、いずれ高速増殖炉)という行き方でいいか。原子力委員会での検討作業が進んできた。つい先日まで、新聞報道を通じてわれわれに聞こえてきていたのは、再処理をする場合のコストが検討されている、ということだった。その結論は10/5に報じられた。それについては核燃サイクル路線は割高だと確認されるに書いたばかりだ。ところが、それから3日。今度は「核燃再処理優位の評価」(朝日新聞04/10/8)との新聞報道がでた。予想していたことではあったが、あまりにも早い反転に驚く。

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2004/10/08

「意識」は人知を越えていて、解るまいとのマッギンの説

 意識の研究が、脳科学・認知科学・心の哲学など多方面から進んでいる。多くの論文・書物が書かれている。その中で特異な主張をしているのがコリン・マッギンである。意識の本質は、われわれ人間には隠されていて、研究が進んでも、解らないだろう、という。脳システムの要素数が膨大で、複雑すぎ、機能を解明するのが容易にできないだろう、というのではない。また、意識は脳という物質レベルの作用を超えていて、何か超自然の要因(たとえば「魂」という名でいわれるようなもの)があり、その部分は科学で解明できない、というのでもない。かれは、意識の本性を知る能力が人間に欠けている、というのだ。それを彼は "cognitive disclosure" (認知的に閉ざされていること)という言葉で要約している。コリン・マッギン著『意識の〈神秘〉は解明できるか』(青土社、2001)で一般向けにこの説を解説している。この本の紹介をHP本館「最近読んだ本」の欄に書いた。詳細はそちらをご覧いただきたい。

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2004/10/06

フンザへ旅に

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 出発はあと1週間ちょっと先だが、フンザへ出かけてくる。そのことは、昨日のエントリの終わりにちょっと書いた。パキスタンの北部、カラコルム山脈の西端の山々に抱かれる秘境である。酒が飲めない、長距離の悪路のドライブ、衛生条件は不良、食物も合うか、など心配は多いが、7千メートル級の山々を間近に眺め、ゆっくりと秘境を楽しんでくるつもりだ。パートナーのみやが、いつもの海外旅行と同じように、ホームページ本館に旅日記を書き始めた。出かける前のことから書くのが例だ。「でかけることにしたが、さて」と題したものを、アップしたのでご覧いただきたい。

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2004/10/05

地獄で政治を担当しているのが日本、とのジョーク

 宮本輝の小説「草原の椅子」(新潮文庫)を読んでいる。ヨーロッパではやっている小話(ジョーク)として、こんなのが出ていた。

 この世で善行を積んだために、死後、天国へ行った男が、天国にも地球と同じ国があるのを知った。だが天国は、それぞれの国が役割を担って運営されていて、政治はアメリカが、警察はドイツが、料理やファッションはフランスとイタリアが担当していた。
 日本は? 日本は何を担当しているのかと訊くと、さまざまな分野における「下僕」であったという。
 そこで男は、地獄ではどうなっているかと思い、地獄を見学に行くと、警察はイタリアが、 料理はイギリスとドイツが、政治は日本が担当していたという。

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核燃サイクル路線は割高と確認される

 朝日新聞などが報じているところ(核燃サイクル、直接処分に比べ「割高」 原子力委が試算(04/10/5))によると、原子力長期計画を策定中の原子力委員会で、原発からの使用済み核燃料を再処理しプルトニウムをリサイクルする場合のコストは、全量を直接処分する場合に比べて、高くつくとの試算が出た。家庭の電気代で年間600〜800円の差が出るという。試算を受けてサイクル路線をどうするか、今後の議論を見守りたい。

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2004/10/03

光る風船の漂う広場

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          (画面をクリック→拡大画像)

 昨日(04/10/2)夜、水戸芸術館広場で、光る風船のイベントがあった。White Base(平野治朗ほか)のGINGAと題するライト&サウンド・インスタレーションである。芸術館の広場を約800個の浮かぶ風船で埋め尽くす。それぞれに豆電球が入っていて、おぼろげに光りながら、地上1メートルくらいを漂っている。広場の各所や風船のいくつかにスピーカーが設置されていて、幽玄な音が出ている。ただそれだけなのだが、ふだん見慣れた広場の様子が一変し、鬼火が燃えているような、祭りで提灯を持つ人が無数に歩いているような、不思議な雰囲気であった。東京やNYで、あるいは地方都市でやって来たものらしい。水戸では夏の間、カフェ・イン・水戸と称する行事が、芸術館と市内各所で開催され、アートずくのである。

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中国の鵬、日本の野分、白川静の台風論

 今年は台風の多い年であった。まだ過去形でいうのは早く、これからも一つや二つ来るのかもしれない。今年の台風は九州から本州を縦走するコースをとるものが多く、風あるいは雨による被害が、毎回場所を変えて発生した。台風接近の予報を聞くたびに、今回はどこで被害が出るのだろう、今回もまた何人かの犠牲者が出るのだろうな、と心が痛んだ。私の住んでいる関東北部は、幸い台風の直撃を受ける頻度が少なく、たとえ通過するにしても弱まってからが多い。それでも水害を何度か目にしている。

 雑誌「風の旅人」(ユーラシア旅行社)は、掲載される写真がよく、また編集方針も常連の執筆者も好きなので、隔月刊を楽しみに待つのだが、今回は「水、風、土と生活」という特集号である。前号から、白川静のエッセイを全文直筆で巻頭に載せるようになった。前回分について、このブログで、04/8/4のエントリ「鬼気迫る白川静の直筆」で紹介した。今回は「台風」について書いているのを紹介しよう。

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2004/10/02

アメリカに目を向ける日々、なんだか変かな

 昨日・今日は、一日中アメリカに目がいってしまった日だった。考えてみればこのところそのようなことが多い。大統領候補の討論と、イチローの記録達成とである。そんな関心のもちようは、政治でもスポーツでもアメリカが世界の中心になっているのだから、自然なことではあるが、何かおかしいとも思う。日本人が、これだけアメリカへ目を向けているのに、アメリカ人は自分のことしか考えていない。大統領選討論でも、問題は世界のためにアメリカは何をするか、ではなく、どちらの候補のほうがアメリカとアメリカ人のために正しい政策を持ち合わせているか、を競っている。イチローの記録達成をアメリカ人も大喜びしている。日本人だなどという意識はほとんどなく、スズキという大リーグプレーヤーがすごい記録を作った、という観点である。日本での騒ぎようも、俺たち日本人の一人が、世界の大舞台で記録を作った、それは日本人の誇りだ、というとらえかたなのだろうが、それはこちらだけの勝手な見方。そんな、こんなを考えながらも、アメリカに目を向けて、情報を読む日々である。

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