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2004/10/05

核燃サイクル路線は割高と確認される

 朝日新聞などが報じているところ(核燃サイクル、直接処分に比べ「割高」 原子力委が試算(04/10/5))によると、原子力長期計画を策定中の原子力委員会で、原発からの使用済み核燃料を再処理しプルトニウムをリサイクルする場合のコストは、全量を直接処分する場合に比べて、高くつくとの試算が出た。家庭の電気代で年間600〜800円の差が出るという。試算を受けてサイクル路線をどうするか、今後の議論を見守りたい。

 上記の電気代の差は、使用済み燃料を全部再処理した場合と、再処理せずにそのまま地下埋設をする場合との比較である。私は当面中間貯蔵というシナリオが、現実的で、最も安価だと思うのだが、新聞報道にそれはない。

 この検討は、長期計画改定のために原子力委員会のもとに設けられた原子力委員会・新計画策定会議で行われているが、実際の作業はさらにその下の技術検討小委員会で行われている。会合の資料や議事録は上記のHPに公開されているので、参照できる。

 資料には、直接処分の場合の地下坑道の設計図が出ているが、ずいぶん立派な施設をつくることになるようだ。実際問題として、日本国内に立地できるか、そちらのほうが問題だろう。直接処分にはいくつかの選択肢がある。奇抜な案だが、将来的にロシアに協力を求める方法があるのではないか,と私は考える。その案も含めて当面貯蔵というのが現実的だといっている。直接処分といっても、実際には数十年の貯蔵後のことなのだから、いずれにせよ、中間貯蔵は必要なのである。

 もう一つ、新聞記事に書いてあって見逃せないのは、六ヶ所再処理工場の後始末費用である。再処理しないとなったら、再処理工場建設費が無駄になるし、解体処分費用もかかる。直接処分のコストに、この分の費用を上積みすると、かえって高くなるという。きっとこの点に注目して、サイクル路線をとるシナリオが選ばれそうな気がする。要注意である。

 2.4兆円もかかった再処理工場をつくり始める前に、コストにもとづいて路線選択の議論をしっかりやるべきであった。今となっては、この無駄な投資が国民の電力代負担となってかぶさってくる。ばかばかしいが、それでも再処理を始めてしまうよりましである。後始末費用は操業しないままのほうがはるかに安い。いったん再処理を始めてしまうと、施設が高度に汚染されるため、1.55兆円かかるそうだ。操業しなければ、4500億円だというが、別に解体せずに、壮大な無駄の記念物としてとっておけばいい。

 さて、この試算を受けて、どのような路線が選択されるか、今後の策定会議での議論を見守ろう。

 現行の原発は必要だが、サイクルはやらない方がいい、というのが、私の意見である。その見地から、この問題について関心を持ってウオッチしてきている。このブログでも書いてきたエントリは、以下の通りである。

六ヶ所村再処理工場の稼働は見合わせるべきだ(04/6/4)
再処理稼働を見合わせるべき、に追記(04/6/5)
原子力発電の後始末費用(04/6/9)
竹村健一は電力の走狗になったか(04/6/13)
核燃再処理工場の試験開始延期は正しい判断(04/6/28)
核燃料サイクルのコスト高は、10年前からわかっていた(04/7/3)
『再処理工場の運転凍結を』との朝日の社説(04/7/5)
試算隠し解明不要と原子力委員長(04/7/9)
使用済み燃料を直接処分すると4倍の面積の処理場が必要(04/7/18)
再処理問題、4案を検討(04/7/31)

 この問題に特化したブログ:コストから原発を考えるプロジェクトには、関連資料のリンクが集められていて、参照するのに便利である。

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