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2004/11/07

星空のウルタル峰

Ultar.jpg
(クリックすると拡大した画像を見ることができます)

 フンザ滞在の最後の夜、完全な晴天に、はじめて恵まれた。その日まで雲に隠れて姿を見せなかったウルタルが、ちょうど半月だった月明かりに照らされて、白く輝いている。頭上には満天の星空。月光が強過ぎて、南天の星座は、さほど見えず、天の川もこれと確認できないほどだった。フンザは星空がきれいに見えることでも、観光客に知られている。旅仲間にはカメラ好きが多く、この夜はホテルの屋上で、星空の撮影会となる。カシオペアを頼りに北極星を確認し、それを中心に星の描く円弧を撮影しようと三脚を据える。私は、ウルタルと、さらにその麓のギルギット砦を入れるため、広角レンズで構える。星空の撮影ははじめてだし、露出がむつかしい。デジタルカメラのいいのは、何度かトライした結果をその場で見ることができることだ。この画像は、絞りをf5.6、露光感度をISO400に設定して、10分間露出したものである。

 白く見える山がウルタルで、左が第Ⅰ峰、右が第Ⅱ峰(標高7388m)である。撮影場所が標高約2300mであるから、5千メートルの標高差がある。頂上は水平距離9kmのところにあり、およそ30度の角度に見える。上の写真では広角レンズゆえに低く見えるが、現場では目の前にそびえ立つような高さを感じる。7千メートル級の山をこんなに至近距離で見ることができる、ここカリマバードは、絶好のビューポイントだ。

 山の下側、真ん中に白く光るのがギルギット砦。手前の黄色い帯状のものは、紅葉したポプラの木。フンザには細く高く伸びたポプラが多い。

 先にも書いたが、このウルタルⅡ峰への初登頂をめざした長谷川恒男は、1991年10月10日、突然の雪崩に襲われ、遭難死した。そんなこともあって、地元ではこのウルタル山を Killer's Mountain とか、Japanese Mountain とか呼んでいる。長谷川のあと、何人かの登山家が登頂をめざし、失敗を繰り返したが、1996年日本人によって踏破された。彼らは、カリマバードの村人から冷たい眼で見られたという。村人にとって、この山はハセガワの山だったからだ。(佐瀬稔『長谷川恒男・虚空の登攀者』(中公文庫1998)による)

 この画像は、所属しているインターネット上の『写真道場』のチャレンジリーグ10月分に応募して、3位に選ばれた。選者安孫子卓郎プロのコメントでは、麓の建物の光などを入れない方が良かったのではないか、とのことだった。

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コメント

アクエリアンさん こんにちは。前回の対極に思えます。
稜線の雪煙が、感動的です。「文明世界」の登山家は、ここにシャングリラの幻想を見るのでしょうか。素晴らしい写真です。
中国側では、雲間から、高山がのぞくと皆、一心に祈っていました。擬似宗教の付け入る世界では、ありませんでした。地元で、重労働に明け暮れる農民には、登れません。

投稿: U-1 | 2004/11/08 09:07

いやあ,どうもおみそれしました.星屋さんと一緒に撮ったとしても,参りました.
あと,月の光でかなり山もよく写るのですね.
ぜひ,下をトリミングして,来年の展示会に出品されたらよろしいのではないでしょうか.

投稿: drhasu | 2004/11/17 03:21

drhasuさん、あれこれの用事で、3日ほど留守をしていました。雪山の反射率のおかげで、月の光で十分写るのです。星の光の強さと、半月の月に照らされた山の明るさとが、10分の露出でどうやらこのようにマッチするのが、2,3分の露出を何度かやってみて確かめられました。やはりデジタルのよさですね。多分にラッキーだったともいえます。フイルムでねらうには、相当の経験があった上で、露出条件を変えながら、何駒も撮ってみて、どれかが当たりということになるでしょう。当日一緒に撮った方たちは,星だけを狙ったが、あまり数が写らなかった。失敗だったと聞いています。近いうちに見せ合いっこをするため、集まる予定です。展覧会に出すとなると、A3ノビで、ノイズがどのくらい目立つかですね。A4でのプリントでは、問題はないようです。

投稿: アク | 2004/11/20 20:23

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