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2005/01/28

アウシュヴィッツ解放60周年記念日

050128Auschwitz

 昨日、1月27日は、第2次大戦時に、ナチス・ドイツによるユダヤ人らの大量虐殺が行われた、ポーランドのアウシュヴィッツ強制収容所が、旧ソ連軍によって解放されて60年の記念日であった。2000人の生存者とともに、ポーランド、ロシア、イスラエル、フランスなどの大統領らが、記念式典に参加したという。私ら夫婦は、1年半ほど前に、中東欧への旅の途次、ポーランド・クラクフに滞在したとき、この地を訪れた。上掲の写真は、収容されると同時にガス室送りになったユダヤ人たちが履いていた靴の山。記念館の展示を写したもの。ほんの一部だという。展示の前に立ち、ひとつひとつの靴に1人1人の命があったことを生々しく想像したことを思いだす。おぞましく、こんなことは2度と起こりえないとおもうだろう。だが、ひとつの国とその国民が狂気に駆られるということは、再びありうると心配する。たとえば、今の日本と北朝鮮との関係は、両国が道を誤ると、こんな事態に達しかねないのだ。

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2005/01/25

わが師、白根元の死

050125GenShirane 1月17日の夜、訃報が来た。白根さんが、数時間前に突然の脳卒中で亡くなったと。愕然とした。この人と出会い、鍛えられることによって、自分の生涯が決定的に変えられた。そのような人を「師」と呼ぶとすれば、私にとって唯一の「師」だった。

【左の写真はブルックヘブン国立研究所のHPから。1年ほど前、日本中性子科学会から贈られた、第1回功績賞を手にして】

 翌日の各新聞に載った訃報にはこうある。

白根元氏死去 米ブルックヘブン国立研究所主任研究員

 白根元氏(しらね・げん=米ブルックヘブン国立研究所主任研究員、固体物性物理学)米東部時間16日午後11時半(日本時間17日午後1時半)、脳内出血のため米ニューヨーク州ロングアイランドの病院で死去、80歳。神戸市出身。葬儀は家族だけで済ませた。

 47(昭和22)年東京大卒。東京工業大助手を経て52年に渡米し、米ペンシルベニア州立大助手。63年から現職。中性子による結晶構造解析や磁気構造解析などに従事した。米科学アカデミー会員で東京大、大阪大、東北大の客員教授。

 日本から米国への頭脳流失が問題とされた時代があった。日本の科学技術がまだ後進であった頃、日本の研究環境は貧しかった。研究費は乏しく、研究現場の活性度は世界の最先端からはほど遠かった。日本の優れた研究者は、米国の優れた研究環境に惹かれて留学し、そのままアメリカに居着いてしまうのだった。ちょうど今、プロ野球やサッカーで起こっているようなことが、科学の世界では4,50年前、起きていた。白根さんはその先陣を切った1人だった。

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2005/01/16

鹿島茂先生は、どうしてキュリー夫人をユダヤ人にしてしまったのだろう?

050115MarieCurie 鹿島茂先生の多方面にわたる博識と、多才な執筆ぶりはつとに知られている。軽やかで読みやすく、つい引きづり込まれて読んでしまう。そんな本を数多くものしておられる。そんな一冊『フランス歳時記』(中公新書2002/3刊)の中で、キュリー夫人をユダヤ人としているが、これは先生、ちょっと筆が滑ったのではないか。放っておいてもいいのだが、広く読まれている書物だから、間違いを指摘しておかないと、誤ったキュリー夫人像が流布することになる。

 キュリー夫人の生涯は、偏見との戦いだった。女性に科学などできるか、外国人を取り立てることはない、そして誹謗の際の常套語「ユダヤ人」。20世紀初頭、フランスには口汚い右翼言論活動がはびこっていた。ドレフュス事件の後遺症だろう。外国人の女性科学者であるマリー・キュリーがめざましい業績をあげ、顕彰されるのを見て、ことあるごとに、この右翼言論は夫人をターゲットにした。それとの戦いに疲れ、後半生はほとんど研究活動もままならなかった。偏見でつぶされたといってもいい。そのキュリー夫人が、今日本でユダヤ人呼ばわりされていることを知ったら、どんなに嘆くことか。ユダヤ人であることを差別視してこういっているのではない。キュリー夫人をユダヤ人と蔑称することに、端的に象徴されていた夫人に対する偏見が、今こんなところに残っていることが残念だからだ。

 鹿島先生が、どのようなソースからそのように書かれたのか知らないが、当時の偏見に「汚染されている」噂話を、気軽な書き物として取り込んでしまったのではないか。先生はそのつもりではなくとも、結果としては、キュリー夫人がもっとも悔しがる誹謗に与していることになる。それゆえに私は、事実を調べ、紹介したいのである。

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2005/01/14

ニューヨーク・タイムズ・オンライン版の有料化?

050114BW インターネット上で新聞記事を読む人は多いだろう。ブログを読むと、新聞記事をリンクで参照して書いているエントリが多い。よく読みに行く米国の政治問題を扱ったblogには、New York Times(NYT) や Washington Post の記事を引いて論じているものが多い。リンクをたどって記事を読みに行くことになる。それとは別に、NYTの論説・意見欄(OP/ED)は、ほとんど毎日目を通しに行く。ところが New York Times のオンライン版が有料になるかもしれないという。

 NYTオンライン版の有料化のうわさは、アメリカのブロッガーの間では、少なからず問題になっている。"BLOGS AND THE MEDIA" by Kevin Drum in Political Mediaには、以下に引用するBusiness Week の特集記事への参照に加えて、ロイターの報道(ここではMSNBCにリンクをつけておく)で新聞業界コンサルタントのMorton が、これから多くの新聞は電子版を有料販売する方向に向かうだろう、とコメントしていることを引用し、

 もしそんなことが起こったら、ブログで行われている政治問題についての議論のほとんどは、死に絶えることだろう。オンラインの新聞や雑誌が生の報道材料を豊富に(=無料で)提供しなくなれば、ブログ上で何かを書ける人はほとんどいなくなるのではないか。

と書いている。彼のエントリには、100件以上のコメントがついて(これは毎度のことだが)、盛んに議論されている。私がこの問題を知ったのは、いつも読みに行くDangerousmeta経由で知った"Pay the Gray Lady" by Photodude.comによってである。

 ことの発端は Business Week(BW) の1月17日号のトップ記事The Future of the New York Timesである。NYTの現社主 Arthur Sulzberger Jr.にスポットを当て、アメリカを代表するこの新聞の抱えるさまざまな問題点を社主から聞き出している、昨年あったニセ記事でっち上げ事件で編集長が退陣するなどのスキャンダルもあったNYTを、これからどう運営していくのか、政治的に変更しているとブッシュ陣営から攻撃されていること、など興味深い問題を取り上げている。その最後の部分で、印刷媒体としての新聞とインターネット上で無料で購読されているNYTオンライン版の将来について問題の発言が飛び出したわけだ。現在社内では有料化すべきだという意見と、それに反対する意見とに分かれて議論されている。社主は明言を避けたが、どちらかというと有料化に傾いているような印象を受けた、とBWは書いている。

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2005/01/12

天皇の靖国、小泉の靖国

 西岡朗(元防衛研究所)の『靖国神社参拝・小泉首相の倫理的資格を問う』(「論座」05/2月号)は、保守の側から小泉首相の靖国参拝を批判するもので、興味深い。その論点を紹介しよう。著者は、日本の首相の靖国神社公式参拝は憲法上、政治上全く問題ない、むしろ戦死者の慰霊は首相たるものの義務であると主張した上で、小泉首相に限って言えば、この人には靖国を参拝する倫理的資格がない、と論じている。

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2005/01/11

知るほどに疑念つのる温暖化

050111Warming

   樹木の年輪などから推定された過去千年の温度変化
 (伊藤公紀「地球温暖化」(日本評論社、2003)より転載)

 異常気象が続いている。昨夏の真夏日記録。上陸台風の数と各地での災害。世界のあちこちでの異変のニュース。ついこの一週間でも、ヨーロッパでそしてカリフォルニアで、時ならぬ暴風や大洪水が報じられている。確かに地球規模で異常気象が頻発している。地球温暖化は確実に進んでいるようだ。対策についての合意を急がないと手遅れになるかもしれない。

 このブログでも地球温暖化に何度か注目してきている(04/8/1404/8/13)。原因についての科学的な検討、予測される気象変動とその環境影響、対策法、その経済効果、政策手段、国際的な協調、南北問題などなど、様々な問題がからんでおり、人類の将来に計り知れない影響を与える重要な問題である。

 関心をもっていろいろと調べてみるほどに、じつは本当のことが分からなくなってきた。当たり前だとしてマスコミでいわれていることに疑念がわいてきた。温暖化の原因が人類の生産活動にあることは明白だと、単純に信じ込んでいたが、そのこと自体が科学的に確立しているわけではない。懐疑派に属する人たち(養老孟司ら)の言動を歯がゆく思い、産業界寄りのスタンスゆえに京都議定書から離脱までした米政府の方針には怒りさえ感じてきたが、それでよかったのか。さまざまな問題点を知れば知るほど、この問題はそう単純ではないことが分かってきた。そのことをおいおい書いてみたい。

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2005/01/04

研究者と老後

 年賀状代わりにと送っている近況報告『てとら』に、ていねいな返書をくださる方がいる。メールの場合もある。その中で、私がかつて研究者だった頃つながりのあったO先生からのメールは、自分の人生の転機とその後のことを振り返るきっかけとなった。この先生とは、ある時期、ご一緒に研究をしたことがあった。いや、ちょうど共同研究を始めたところで、事情があって私は研究から離れ、その後、別の道をたどった。先生はその研究を完成し、今なお発展させている。私より若い先生だが、大学を定年退官され、別の研究の場に移り研究を続けておられる。

 研究現場から早々と抜け落ちて、別のキャリアを歩み、今は退職後の老後を楽しんでいると現状を伝えた私に、うらやましいとおっしゃりながらも、ご自分の研究続行の現状を書き送ってくださった。今度は私がうらやましいと思う番である。こんな返書を送った。

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2005/01/02

「新シルクロード」に中国発展の現状を見る

 NHKの「新シルクロード」が始まった。前回から25年を経て、どんな姿を見せてくれるか、興味深い。昨日(05/1/1)放映されたプロローグの前半は「再会」という題で、前回登場した場所なり人物を再登場させるという趣向だった。再会という物語性も面白かったが、何より目をひいたのは、この4半世紀を経ての中国社会の変化だった。経済発展の影響が予想以上に奥地にまで及び、人々の生活が桁違いにレベルアップしているのを映像で見せてくれた。シルクロードのロマン性に酔うよりも、中国恐るべしとの印象を強く受けた。この中国とどうつきあうか。そんなことまで考えてしまった。

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2005/01/01

明けましておめでとうございます

 新春の目覚めは地震によってでした。5時15分、水戸では震度3。茨城県北部や福島県では、震度4のところもあったようです。災で04年が暮れましたが、今年も災が続きそうな予感がします。

 そんなことで、目覚めてしまってまもなく、出してなかった年賀状の山をワイフが発見。我が家の年賀状は封書で出します。年賀扱いにならないため、到着日ができるだけ元日になるよう、距離に応じて投函時間を分けているのです。袋に入れて分類してあった、その一つを出し忘れていたのでした。遅れを取り戻そうと、近所のポストではなく、市の中心部にある水戸郵便局にまで車を走らせました。

 水戸では昨日は雪ではなく、雨だったのですが、それが今朝の冷え込みでばりばりに凍り、道路はアイスバーン状態です。ゆっくりと車を走らせましたが、坂を降りきった交差点でエンジンブレーキを効かせたら、とたんにスリップ。車のアンチスリップ装置が働いて、ことなきを得ました。警報ブザーが鳴り、4輪のプレーキを独立に制御し、車体を正しい方向に維持してくれました。こんなことははじめてでした。

 どうやら、今年も多難そうですが、ブログはほどほどのペースで続けるつもりです。よろしくおつきあいください。

 なお、わがやの年賀状代わりの家庭新聞『てとら』05年号をHP本館のほうに掲載しておきました。読者にはこれで新春のご挨拶とさせていただきますので、よろしく。

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