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2005/02/16

ニューヨーク行ってきた

050216GrZero

    【フェンス越しに見た世界貿易センタービル跡地】
  NY市に3日、ロングアイランドに3日。駆け足の旅から帰ってきた。短いが、充実した旅だった。明日から東京での用事があり、見聞をまとめて書くひまがないので、とりあえずのサマリーを。

・マンハッタンのホテルにチェックインして、すぐに地下鉄に乗り、グランド・ゼロへ。かつて世界貿易センター双子ビルの建っていた場所は今そう呼ばれている。整地が終り、建設が始まろうとしている。何もない広大な地面が破壊のすさまじさを想起させる。今やここは聖地となり、観光客が訪れる。アメリカ各地からのおのぼりさんが多い。フェンス越しに穴ぼこ状の敷地を眺め、何を思うのだろうか。「2001年9月11日の英雄たち」とのタイトルで、死亡者名のリストが掲げられている。この襲撃のショックが、今のアメリカを決定的に方向付けている。その場所を見届けておきたいと、何はともあれ、ここへ行ってみたのである。

・改装後オープンしたばかりの近代美術館(MoMA)には大勢の人々がつめかけている。寒風の吹く中、長時間行列に並んで入館。展示面積が2倍に拡がったという館内には、見慣れた名作がゆとりを持って掲げられ、ゆっくりと鑑賞できる。吹き抜けを大きく取って、開放感の溢れる谷口吉生の設計は評判がいいようだ。久しぶりにお目にかかるワイエスの「クリスティーナの世界」は、通路みたいな、狭くて暗い部屋に置かれ、かわいそう。かつては展示場に上がっていく階段の踊り場で見た。その印象は失われた。

・セントラルパークには、毎朝早起きして日の出前に出かけた。寒く、池は凍っている。ジョギングする人、スケートをする人、日の出とともにうごめき出す水鳥たち、やがて朝日に照らされだす摩天楼。この場所と時間が好きだ。異様な紅色の門があらゆる道を覆って並んでいる。まるでお稲荷さんの鳥居のよう。二十数億円もかけた、アート展示なのだという。

・フリック・コレクションにはじめて行く。3枚のフェルメールが目当てだった。それはそれとして、ほかに、よくぞこんなものがここに、と驚くほど質のいい名作が展示されている。コレクターの自宅で、彼が望んだとおりの置き方で残されている。外に貸し出すことは遺言で行われない。ホルバインの「トマス・モア像」など、ここに行かなければ,観ることができない。いい金の使い方をするアメリカ人もいるものだ。

・クリントン時代の景気の良さの名残なのだろう。アメリカ人の平均レベルでの豊かさは、また一段と良くなっているように見えた。かつて見た薄汚れたニューヨークのイメージは一掃されている。30年前からずっと見続けてきたが、行くたびに良くなっている。治安についての不安も今では全くない。猥雑な部分も一掃されている。この秩序回復ぶりと共和党支持へ傾く世論とは軌を一にしているようだ。

・何人かの友人たちと旧交を温めてきた。新しい知人も得た。会ってきた人はみな、ブッシュとそれを支持する層を、心底軽蔑し、嫌悪している。今のアメリカ内部にある大きな亀裂を感じた。

・訪米の主目的だった白根元記念会は、この巨人を弔うのにふさわしい印象深い集いだった。この人からどんなに大きなものをそれぞれが与えられていたか、この人と共に生きたことがどんなに貴重だったか、あらためて喪失の大きさを思ったのだった。

・アメリカの入国管理官の感じの悪さは、かつての共産主義国のそれを思い出させるほどのものだった。私の対応した人がたまたま、ヒスのオールドミスだっただけかもしれないが、きわめて官僚的だった。こんなアメリカ人には会ったことがない。今のアメリカに対する印象が、玄関口で著しく損なわれた。

・敬遠していたアメリカに、今回行ってみてよかった、とは思う。

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