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2005/04/12

Aurora A さんのコメントに注目

 「法王死去で考えたこと」のエントリに、Aurora A さんが、コメントを書き込み、私が答え、というやりとりが何度かあり、出だしの「法王死去」から離れているが、いい議論の展開になっている。一つのコメントが、エントリ一つ分くらいの長さがあって、話題も多岐に展開されている。Aurora A さんは、アメリカの研究所で働く生命科学分野の研究者だ。もともとは、インターネット上の写真仲間として知り合った。

話題にされているのは、たとえば、こんなテーマである。

・アメリカの宗教保守の圧力が、生命科学研究(例えば Stem cell 研究)の足かせになっていないか。
・米国の政府予算は、軍事優先で、科学技術予算が削減されている。
・アメリカの大学や大学院で、自然科学志望のアメリカ人学生が極端に減り、アジア系が目立っている。
・研究費が乏しくなるにつれ、研究評価が厳しくなり、それが研究現場に悪い影響を与えている。
・日本は生命科学分野で遅れをとっていたが、大きな研究予算が投じられるようになり、最近は日本人の業績が目立つようになってきた。いつまで続くかは疑問だが。

Aurora A さん、さらに続きのコメントがありましたら、新しいエントリを立てましたから、こちらへ書き込んでください。

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コメント

わざわざ表題まで立てて頂き恐縮です。私自身が先日人事評価を受けることになりましたので、そのことに関して気づいたことがありました。そのことについて少々意見を述べさせて頂きたいと思います。

 今や生命科学も他の領域と同様にビッグサイエンスと化しました。ゲノム解析を代表とするような大きなグループで解析を進めることにより結果が出るような研究が多くなって来ました。そのように大きな国民の予算を消費するものは、一般の方を含めた視点から評価されるべき、継続するかどうか判断されるべきという意見はもっともなところだと思います。ではその評価はどのようにするのでしょうか?先に書きました論文の引用回数を元に計算されたインパクトファクターより算出される合計値がひとつの目安になっているようです。生命科学も細かく専門領域化していますので、領域が少しでも異なればなかなか評価しにくいのが現実なので、これが一番手っ取り早い方法なのでしょう。
 しかしながら困るのはこのようなビッグサイエンスの評価の方法をまだキャリアの浅い段階の研究者の評価やまだ個人レベルでの萌芽的なレベルの研究にまで採用されつつあることです。キャリアの浅い段階では研究業績は上司や指導教官、もしくは研究室の研究の浮き沈みに大きく左右されている場合が多く、研究者自身の研究能力とは必ずしも相関しないという面があります。さらには萌芽的レベルの研究においては、まだ試行錯誤段階でそのように短期間で成果が求められると、重要なデータを切り捨てながら見切り発車のように研究を進めて行かなければならない事態に陥ります。ですから、私は予算や人材を大きく消費する大型研究と小さな規模での研究は明らかに区別する必要があり、別の評価基準が必要なのではないかと思っています。しかしこの点ではまだアメリカでさえも十分に機能していないことは明らかです。
 ではそのような規模の違う研究の評価はどのようになされるべきなのでしょうか?これは難しい問題です。研究費の応募や人事の応募の際に、全ての応募された申請をひとつひとつ細かに研究背景から全て検討することは事実上不可能です。私もどのような方法が一番良いのかわかりません。
 ただ、ひとつ興味深く感じることは、何かこれは大学の入試制度と似ているように感じることです。日本の場合は共通のセンター試験での点数や二次試験の点数でいわば客観的にデジタル式に入学者を選抜しています。一方、ハーバードやプリンストンを代表とするアメリカの有名な大学は高校での成績もさることながら、ペーパーテストの点数が高い人間だけを入学させると画一的になってしまう危惧から、推薦書や人物背景を含めて検討し、あえてある程度多様性をもって選抜していることです。その選抜過程における評価について書いた文章を読んだことがありますが、2回にわけて選抜を行いひとつはエリートとなれる秀才を、もうひとつは独創的な発想が出来る人間をそれぞれ違う基準で選ぶように意図していると読んだことがあります。数十年後にその選ばれた卒業生がいくらのチェックを切ってくれるかという結果に直接関連するので、選抜方式はそれらの大学にとって死活問題でとても真剣だとのことでした。そのようなシステムが本当に機能しているかどうかは別として、よりよい機能のため試行錯誤して改良してゆく努力は必要だと思います。

投稿: Aurora A | 2005/04/16 12:14

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