« 郵貯の攻防 | トップページ | 大分で会った友人たち(3) »

2005/04/18

日本と日本人は嫌われている

 中国各地での暴動について、さまざまな言論がなされている。中国当局が国内世論に配慮して厳しい取締りを避けている結果だとか、国内に鬱積している共産党政権への不満がこのような形で暴発しているのだとか、である。一応納得がいく。しかし私はもっと底流を見たい。韓国で起こった事件も含めて、日本と日本人が、近隣諸国から嫌われているのだ、という側面に注目する。ふだんは表に出ない潜在意識のようなものがあって、今回それが顕在化したのだと理解する。そうだとして、これについてどうしたらいいか、対応策はないだろう。そのような嫌日気分の中で、今後も近隣諸国と付き合っていくしかない、と考える。

 なぜ嫌われるか。そこをよく考えてみる必要があるのではないか。アメリカが、中東のイスラム圏で嫌われる。最近ではヨーロッパでも、アジアでも嫌われている。そのことに多くのアメリカ人が気がついていない、分かっていない。それと同じようなことが、日本とアジア近隣諸国との間にあるのではないか。

 なぜ嫌われるか。韓国や中国での、自国本位の歴史教育・反日教育の結果だという説明がある。それもあるだろう。私は、それに加えて、日本の経済的繁栄に対する羨望、嫉妬、恨みのようなものが、漠然と底流にあるのではないかと感じる。太平洋戦争で、日本はアジアの国々を戦地にし、その国の人々に災難を負わせた。最終的には日本は敗戦国として、最悪の状況に陥った。中国や朝鮮の人たちからすれば、「ざまを見ろ」だったろう。しかし戦後、いち早く経済復興を成し遂げ、経済的繁栄を謳歌し、先進国の仲間入りをしたのは、日本だった。

 それにひきかえ、韓国も中国も、長いこと開発途上に取り残された。被害を受けた国が後れをとり、被害の原因を作った(と彼らが教え込まれている)国が、段違いの繁栄を誇っている。しかもその国の経済援助・技術援助を受けたり、繁栄のおこぼれを受けたりしている。どんどん入ってくる日本のハイテク製品をうらやましく思い、入手した製品を喜んで使い、日本はすごいと思いながらも、彼らは日本を好きにはなれなかったのではないか。やっかみ、恨みがましく思う。そんな屈折した気分が、底流としてあったことは、想像できる。

 そして、日本企業と日本人が進出してきた。金銭的にはウェルカムであっても、日本人の会社幹部に下役として使われることも、肩で風を切って街を往き来する日本人の姿を見ることも、嫌だったのではないか。日本人は、精一杯現地の人に親しもうとしたとしても、彼らには、尊大な態度をとっているとしか見えなかったのではないか。生活レベルも、金銭感覚も格段に違っているだけで、彼らは、差別を感じとり、逆恨みをつのらせていたことだろう。

 ここ十年、十数年、ようやく、韓国も中国も経済発展を遂げ、未曾有の成長途上にある。一部では、日本企業を追い越す企業も出てきた。かつてあった日本人に対するコンプレックスも消えつつある。今や若者たちは、日本人なにするものぞと、昂然たる気分でいるのだろう。そのような自尊心と、かつての鬱屈した気持ちがない交ぜになって、底流にあった嫌日気分に火がついたのだと、想像する。大半の人にとってはあまり利害関係のない領土問題や、日本の安全保障理事会常任理事国入りに反発するのも、彼らの自尊心と嫌日気分からすると、理解できる。

 こう書いたからといって、今回の中国で起こった領事館襲撃や、日本関連の店の破壊、個人への人身攻撃などを容認するわけではない。まして、今回の暴動に治安上の責任があったことを認めない中国政府の対応ぶりには、お国の事情はあるにせよ、あきれている。昨日や今朝のテレビが映していた上海領事館への投石跡のすさまじさは、幾重にも領事館を囲みながら投石を放任した警官隊の映像とともに、世界中に伝えられ、中国の印象を損なうことだろう。

 隣り合う国の人々が、相互に、相手国とその国の人々を嫌う、という事例は歴史上多くある。人種や宗教の違いも原因としてあるが、領土や覇権をめぐる歴史的な経緯に起因するケースが多い。現代では、軍事的な覇権とともに、経済的覇権がものをいう。そして覇権をめぐる状況は、国民感情を刺激する。

 日本と日本人が、近隣諸国から嫌われているという事実は、どうしようもない。非常に根が深い。日韓関係改善と、一部の人を楽観させた韓流ブームは、竹島問題に火がついただけで、吹っ飛んでしまった。民族意識に深く根を張った好悪感はどうしようもない、という現実を見据えながら、問題に一つずつ対処していくしかない。少なくとも国民感情を煽るようなことはやるべきでないだろう。

 歴史的経緯や国民感情を超えて、一つになろうと歩みつつあるEUに、学ぶべき点が多い。

|

« 郵貯の攻防 | トップページ | 大分で会った友人たち(3) »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/36654/3751883

この記事へのトラックバック一覧です: 日本と日本人は嫌われている:

» 反日--我らが我らであること。彼らが彼らであること。 [BigBan]
大陸に渦巻く巨大な敵意は、黄砂とともに海を渡り、この国に、こうして日常を暮らして [続きを読む]

受信: 2005/04/19 05:11

« 郵貯の攻防 | トップページ | 大分で会った友人たち(3) »