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2005/04/16

郵貯の攻防

 郵貯改革は、小泉改革の本丸といわれるが、それほどの問題ではあるまい。年金とか近隣諸国との外交とか安全保障など、もっと優先されるべき問題があるのではないか。自民党の大騒ぎを、そんな考えで、冷ややかに見てきた。しかし小泉首相と抵抗勢力との対立は尋常ではない。これまでの道路や地方分権などの改革では、テキトーな妥協をしてきていた。改革を期待する国民の立場からすると、肝心のところで既得権が手厚く守られ、名ばかりの改革に終わってしまったと、裏切られた気持ちできた。しかし、今度の自民党の首相への抵抗の激しさを見ると、郵貯改革は、見かけ以上に自民党の何か琴線にふれているな、と思えてきて、叩かれている竹中担当大臣と、小泉首相を応援したい気になった。

 自民党は、長年にわたり、日本の国の隅々まで、既得権の網目を張りめぐらせてきた。農林族は、米や農畜産物の価格維持など、さまざまな面で生産者の既得権擁護の側に立ってきた。建設族は、道路やダムや、さまざまの箱もの建設で、大手を中心とする建設業の談合ネットワークを擁護してきた。厚生族は、医療費や年金問題で、利害関係者と官僚の既得権を擁護してきた。その他もろもろ、あらゆる利権をシステム化し、さまざまな段階で、きめ細かく口利きすることで、選挙地盤を構築し、小金・大金を稼いできた。しかし、小選挙区制の導入、度重なる不正の糾弾、既得権の温床であった旧田中派の退潮などが相まって、族議員の力もかつてほどではなくなってきた。そしてこの数年の小泉政治が、何のかんのといっても、自民党の根幹を揺るがしてきた。

 そこにきて、この郵貯改革の騒ぎである。国民にとっては、まあどうでもいいか、という程度の問題であった。今の郵便局システムが、民営化で、変わったり、なくなったりするわけでもない。最近では、実質現状維持の方向へ大幅な妥協がなされたようだし、またもや名ばかりの改革に終わるのではないかと、傍観気味だった。しかし、最近の様子はただごとではないようだ。ひょっとすると全面対決のあげく、自民党が割れたり、解散とか、政党再編まで行くのではないかとまで、思えてきた。

 改革細部の是非を超えて、抵抗勢力には譲るに譲れぬ何かがあるように見える。ここで譲ったら、弱体化してきた自民党の基盤がもはや最後、とでも思っているかに見える。もしそうだったら、小泉さんには、最後まで執念を貫いてもらって、対決の結果、仕方がなければ自民党をぶっ潰すところまでやってくれたらいいが、と期待したくなる。ここ1,2週間、あるいは月末が山だという。小泉首相の薄ら笑いの下に、したたかな決意がにじんでいるようで、頼もしくさえ思える。今や、にわか小泉党員である。

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コメント

小泉首相の郵政民営化に関する議論は私も注目して見ています。何かここに来て小泉首相は今までの自民党のリーダーとちょっと違うなという感覚は私も持っています。何か愚かなほど純粋で、かつ一本気なところが見えます。「何か違うな」という感覚は私の周りにいるアメリカ人も感じているようで、今までの日本の首相の名前は全然知らないのに、小泉首相の名前は知ってるアメリカ人は結構な頻度で私の周りにいます。彼らは小泉首相が今までのトラディショナルな日本社会と改革に関する意見の食い違いで苦労していることも知っています。ここが小泉改革における正念場なのでしょう。彼は以前より長い間郵政族でした。本丸においても改革を成し遂げることができるかどうか。彼のリーダーシップが問われることになるでしょうし、彼がここで妥協すれば今まで苦労して来たことが水泡に帰すことを意味しています。彼のお手並み拝見です。ここで日本が痛みを伴いながらも改革を指向するのか、過去の路線を引きずるのかは今後の日本の路線を読む上でも大きな指標となりそうです。個人的には郵便局のサービスは優れていて民間と張り合っても、十分に競争力を持つものと思いますがさてどうなりますか。支持するかしないかは別として、興味深く注目しています。

投稿: Aurora A | 2005/04/17 15:02

Aurora A さん、コメントありがとうございます。
外国から見ると、自民党が、自分の党から出ている首相が進めている改革に抵抗していることが理解できないでしょうね。今起きているのは、たぶん、旧来の自民党的(すなわち日本的)政治手法と、欧米流のリーダーシップにもとづく政治手法との最後のバトルなのでしょう。
小泉さんは、郵政族ではなかったと思います。族でいったら、厚生族であり、大蔵族です。郵政改革を実現することにより、旧田中派を中心とする郵政族から力を奪ってしまおうというのが、彼の長年の執念で、それを今いよいよ実現しようとしているのでしょう。

投稿: アク | 2005/04/17 17:19

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