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2005/07/24

花酵母の純米吟醸酒「来福」

050723Raifuku

 日本酒をたしなむ。和食とのとりあわせは何といっても日本酒である。酒は味のバラエティが豊富で楽しめる。なかでも冷やした純米吟醸酒がいい。生酒や冷やおろしを特に好む。かつては姫路でなじんだ酒屋から兵庫県加西市の富久錦の生酒「播磨路」をクール宅急便で送ってもらったりもした。しかしいつまでも姫路の生活を引きずりたくない。地酒へのこだわりを捨て、全国銘柄の八海山や吉乃川でよしとしてきた。旨い酒との出会いは、偶然に来るものである。以前「十四代」の場合もそうだった。今回は、「来福」という酒が、福をつれてやって来た。先般外国旅行帰りのおり、遅い時刻の到着便ゆえに泊まった成田のホテルの夕食の席に、店長お勧めの酒として、これがあった。一口飲んで、これは何という酒だ、こんな日本酒があるのかと衝撃を受けた。舌の上で微細な泡がはじけるのか、シュワッとした渋みのような刺激がある。上品な香りが漂う。フルーティですっきりと甘く、軽ろやかでありながら、しっかりした主張がある。ビンを持ってきてもらって、酒造の名と住所をメモした。何のことはない、茨城県の酒だ。

 インターネットで調べるといろいろと情報がある。来福酒造は真壁郡明野町(現在は合併で筑西市となっている)にある創業享保元年(1716)の老舗だ。ところがそこの十代目となる若い(32才)後継者が、大学で醸造を勉強し、さらに武者修行を他社でやってきたあと、杜氏に依存するこれまでの酒造りをやめて、自分の手で納得のいく酒を造り始めた。米と酵母にこだわっている。何種類かの酒造好適米を、農家に契約栽培してもらって、それを使う。たとえば、最近少数だけ売り出した「愛山」は、幻の酒米と呼ばれるが、兵庫県の農家に3年がかりで説得して栽培を依頼したものという。

 日本酒は、製造過程で酒母(もと)をつくるのに酵母を使うが、これに自然界の花から採取し分離した酵母を使っている。ホームページをご覧になると、さまざまな花酵母がリストアップされている。私が最初に飲んで衝撃を感じたのは、ベゴニアである。酒米は雄町だった。若主人が酒造を学んだ東京農業大学醸造学科の中田久保教授が、花から酵母を採取することを始めた。もらい受けたナデシコ酵母を酒造に使い製品として売り出したのが、新しい来福の酒である。ナデシコにとどまらず、さまざまな花酵母の開発を意欲的に進め、酒造りに試している。なるほど、違った味がするはずだ。酵母を生かした酒を冷蔵したまま販売している。花の香りとともに、舌の上でシュワッと軽い渋みがするのは、発酵で残ったガスがはじけるのだろう。

 酵母と米との相性があるらしい。愛山にはつるばら、山田錦には月下美人、雄町にはベゴニアやアベリアを用いている。それぞれに違った味がして楽しめる。まだまだ花酵母と米との良い取り合わせの探求は続いているようだ。コスモスやひまわりの酵母を使った酒もあるらしい。米としては八反、亀の尾も使っている。酒造好適米の栽培を、兵庫県などだけでなく、地元でも進めているらしい。まだこの酒を造り始めて6年かそこらである。これからもっと新しい酒が出てくる可能性がある。

 問題は入手難である。作る量は少ないようだ。蔵元は直接売らない。通販もない。電話をすると、販売店を教えてくれる。全国に30店舗ほどしかないという。何という偶然か、水戸では、車で10分とかからない酒店で売っている。それも、特に主力を置いて扱っている。店頭には、「来福」の大きな布看板が広げられている。冷蔵庫に来福の酒が、各種取り揃えられている。ファンも多いそうだ。値段はリーゾナブル。1.8リットルで2千円台という値段設定に、若主人がこだわっているので、稀少品とは思えない並みの価格で入手できる。これまで、ベゴニア雄町、アベリア雄町、つるばら愛山、月下美人山田錦と試してきた。どれもそれぞれに個性があって良い。まだまだ先が楽しみだ。

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コメント

はじめまして。
菱沼かれいさんのところからたどり着きました!

私も来福が大好きなのです。
今回、愛山を飲めて、本当によかったです。
山田錦も、いつかどこかで出会いたいなぁ・・・
と思っています。

投稿: まき子 | 2005/08/02 01:45

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