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2005/09/22

気に入らない、宮崎哲弥のコメント

 評論家宮崎哲弥が、今日(05/9/22)の朝日新聞で、造反派議員たちは空気の変化が分かっていないのでないかと、昨日の首班指名における彼らの苦渋の選択を批判している。自民党の予想外の大勝で、政界の空気は大きく替わったとは思うが、彼がいうほどに日本の保守の体質が一変してしまっただろうか。評論家は時代風潮の変化をいち早く感じ取り、それを指摘する使命があるが、他方では変化がそうたやすくないことを見て取る注意深さも必要である。黒白をはっきりつけたがる小泉流の世論操作で、批評家たちの腰までが軽くなっている風潮を憂う。

追いやられた議員たちの苦渋の選択 造反組は小泉流の荒っぽい政治手法の被害者ともいえる。郵政改革法案に対する彼らの賛否に、私は同調するものではないが、彼らが想定外の苦境に立ちながらも、必死の思いで勝ち上がってきたのを理解する。新しい議席配置で自民党席に座っている再選組の党員たちと、無所属や新党という末席に座らせられ、悲哀を感じている彼らと、運命を分けたのは、改革に対する見解の違いというよりは、政治信条をどれだけ貫く行動をとったか、であったと、私は見る。ある意味で、彼らのほうがいさぎよい。

 彼らは、自分らはたまたま無所属や新党に追いやられたが、依然として自民だと思っている。彼らの多数は、首相指名で「小泉」に票を入れた。今後の政治生命などを、さんざん考えての、苦渋の選択だったろう。あり得べき選択だったと、私は理解する。

宮崎哲弥のコメント ところが、宮崎哲弥は、こんなコメントを話している。

 小泉首相がこれからの自民党はかくあるべきだ、と言って選挙に打って出た。それに納得できない人たちは、明確に異を唱えて別の道を歩むのでなければ、なぜ小泉自民党が勝ったのかという認識が甘いと批判されるだろう。
 思想信条が一貫し、明快な政策思想を打ち出すという理念と態度の一致が見られたところに今回の大勝の秘密がある。それに対し、信条と態度に混乱が見える議員たちは、有権者が何を求めているかが分かっていないように思える。
 自民党だからというのは何の意味もない。保守というのが大きく変わってしまった。その空気の変化が分かっていない。

勝ち組と負け組、政治思想がそんなに明快に分かれていたか 選挙結果を受けての、あとづけのコメントである。ここに至る経緯をふりかえってみれば、彼らが「異を唱えて、別の道を歩む」選択をしたわけではない。むしろ、そういう結果に、全く不本意に追いやられたのが実情である。それを思いやることができないのか。もう一つ、国民は、小泉側の自民党に、宮崎がいう「思想信条が一貫し、明快な政策思想を打ち出すという理念と態度の一致」を見て、票を投じたのだろうか。自民党の大部分の当選者が、そのようであったのか。「明快な政策思想」もなく、「信条と態度の混乱」を、表面だけ取り繕って、うまく身を処し、予想外の票を得ただけではなかったか。その内情をみてとらずに、「保守というのが大きく変わってしまった」とまで言いきるのは、評論家としていかがなものか。宮崎哲弥は、私としては、比較的買っている論者なのだが、この発言だけは、あまりに提灯持ちすぎて、気に入らない。

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コメント

お久しぶりです。宮崎哲弥氏のコメント小生も読みました。彼は嫌いな評論家の一人です。(M2の宮台真司しかり)今回のコメントも私にとっては不快の一語につきます。

秋田選出のN議員も造反組ですが、彼は自民党の利益誘導型の抵抗勢力として名の知れた方です。(個人的に嫌いな議員の一人)彼は現在、自民党を離党せずに国民新党、新党日本の会派に所属し、自民党員としては唯一(?)小泉さんに投票しませんでした。いずれ除名されると思いますが、最後まで筋を通そうとするその姿勢をどう評価したらよいか考えていたところでした。

「郵政民営化」は秋田の利益のためならないとその姿勢を変えない態度には必ずしも賛同できませんが、愚直なまでにその説を曲げない彼のような政治家もいてもよいのではないか。「愚直」という単語が現代の政治の世界から消えていく運命にあるのでしょうか。さびしいことです。

投稿: | 2005/09/22 21:56

伸さん、コメントありがとうございました。やはり伸さんも、同じような違和感を持ちながら、現在の政治状況を見ておられるようですね。時代が変わっていくとき、軽薄とも見える考え方がのさばっていき、それが既成事実としてどっかりと座っていき、まっとうと思っていた人々や考え方が、取り残されていくのかもしれません。あるいは、今の時代が一時的なブレに過ぎなくて、あいかわらずの状態が続くのかもしれません。考えてみれば、歴史はそういうことの繰り返しです。既成のものが居座って、世の中が沈滞するとき、革新をいい、軽佻な改革のかけ声が跋扈するときには、伸さんのいわれるように「愚直」をすすめたくなります。

投稿: アク | 2005/09/22 22:51

いつも読ませていただいています。僕も朝日新聞の宮崎哲弥氏の論評を読んで,違和感というか不快感に近いものを感じていました。彼が言う思想信条や政策の一貫性が国民に受け入れられた結果とは,僕には思えませんでしたし,自分好みの結論に強引にもっていく非論理的な論法には不快感すら感じました。どういう人なのでしょうか,この人は。

投稿: sukarabe | 2005/09/23 15:59

sakarabe さん、いつも読んでいただいている、とはありがたいことです。勝手なひとりごとを時折書きつづっているのですが、共感していただける読者がおられることがうれしいです。宮崎哲弥氏は、私は時おり総合雑誌の論文や、CS-Asahiニュースのある番組の司会者(かな)としてみる程度ですが、右にも左にも組みせず、時には鋭い指摘をしている人として、注目はしていました。これまでの思考の枠組みに囚われずに、新しいものの考え方を提示しようとしている人に、目がいくのですが、その一人でした。
 今回の小泉・ドラマについて、比較的若い論者が、私にいわせれば、かなりコロリと参ってしまって、新しい時代の到来したかのように、提灯持ちをする人が多いようです。これまでの閉塞的な気分が突破できたかのように、感じているのでしょうが、私らのように、いろいろな時代を見てきたものからすれば、たかがこれしきのことで、そう簡単に世の中変わるものかな、と懐疑的になります。
 またご意見お寄せください。

投稿: アク | 2005/09/23 20:17

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