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2005/09/13

弱者が、弱者切り捨ての快感に酔っている、と内田樹

 今回の選挙結果の分析で、なるほどと感心したのは、「街場の現代思想」の内田樹のものである。毎日新聞から求められて書いたものに、さらに付言して「勝者の非情・弱者の瀰漫」を書いている。お読みいただくとよいが、武術家であり、このところ相次いで出版される本やブログでの言説が冴えている社会思想家ならではの、見方は鋭い。

「弱者は醜い」という「勝者の美意識」に大都市圏の「弱者」たちが魅了されたという倒錯のうちに私はこの時代の特異な病像を見る。

という部分が、エッセンスだと思われる。小泉さんの弱者切り捨ての見事さに、自分が弱者であることを忘れ、自分を小泉なる勝者と同体化して、弱者切り捨ての快感に酔っている、といってるようだ。今回の圧勝の社会心理学的な背景を言い当てている。武術の試合いで、先手を取られ勝負に負ける一瞬のありようを、小泉の先手のとりかたの見事さに当てはめている。なるほど。

「弱者」という看板さえ掲げればドアが開くという状況に対する倦厭感があらゆるエリアで浸透しつつある。

 と書かれている「弱者の瀰漫」感は、いくら何でも社会は過去のものにしつつあると思うのだが、この強者ー弱者分析は、内田のいうような「倒錯」状況、あるいは、弱者の閉塞感をふまえて、考えを深めてみる契機になるな、と感じた。ひとこと紹介まで。

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コメント

内田さんの見解、すごい切れ味ですね。「我が内なる弱者殺し」ってことでしょうか。これが現在の日本の心象風景。まあ、そこまで感じ、考える人は、ひとにぎり、ではあるのでしょうけど。たぶん、私がそうだろうと思うので、深く刺される見解です。

投稿: miyakoda | 2005/09/14 00:09

そうですか?むしろ逆で強者切り捨てだと思うんですけど。

公務員や既得権益がある所は不祥事を起こしてもトカゲの尻尾切りで
本体は温存され赤字の垂れ流しが変わらないのに
サラリーマンは税負担を増やされるのはまったくもって不公平じゃないか!
という風に思えるんですが。

だからこそ小泉に力を与えて郵便やら無駄な公共事業をぶっ壊して欲しいと。

投稿: lba | 2005/09/14 13:22

Iba さん、はじめまして。ようこそ。

誰が強者で、誰が弱者か。自分をどちらと考えるか。それを取り違えて、勝利の快感にあずかっているように思いこんでいないか。そういうことを内田樹が問うているのだと思います。今回、小泉さんが仮想の敵として、徹底的に叩き、みなが同調して喝采したのは、古い自民党的な(言うなれば、地域的な利益を大事にするという)体質を脱却できないとされた人々、あるいは、必ずしもそうでないのに、郵政改革に反対している組合を大事にしているとされた、民主党とそれを支持する層。そのあたりを内田樹は、弱者としてみんなで叩き、勝者のつもりでいるが、そうなのだろうか、と疑問を投げかけていると思うのです。
Ibaさんは、小泉さんがしたことは、強者切り捨てなのであって、ますますそうしてほしいと、おっしゃっているのでしょうか。私には、強者はますます強くなり、小泉改革によって利益を得ると、ほくそ笑んでいるように思えます。

投稿: アク | 2005/09/14 20:44

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