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2006/04/19

ブログ復帰

 しばらくエントリを書けなかったが、今日から復帰する。先のエントリに書いたように、米国の友人ヒルダが来日し、その相手でまったく時間が取れなかった。わが家に、最初に3泊、最後に一泊。京都に3泊して、奈良も一日見た。東京に3泊。全10泊というスケジュールだった。綿密に立てた計画はうまくいき、ヒルダはそのすべてを楽しんで帰っていった。

 桜満開の観光も、歌舞伎の観劇などもおおいに楽しんだが、いちばんよかったのは、全行程でたえ間なしに続いた彼女との会話だった。よくぞこんなに話すことがあると思うほど、延々と話し合った。話題は、家族や友人のことはもちろん、仕事、政治、日本文化、宗教、本、映画、写真、絵画、食、楽しみごと(彼女の場合はオペラとカヤック)などさまざまにわたった。ものの見方、考え方、関心のもちようなどが似かよっていることが、話を弾ませる原因だったようだ。私らの滞米中、その後の短い訪問、そしてその後ときどき交わす手紙やメールでも、そのように感じ、それゆえに交友関係が続いたのだった。今回長い時間話し合い、あらためてそのことを感じたのだった。

 地域の図書館に勤め、文化活動の企画実行をする担当者という以上に、何かを専門に研究しているとか、そういう人ではないのだが、アメリカの中流以上の女性の知的関心のレベルはさすがに高い。ニューヨークタイムズの論説欄や文化・読書欄を丹念に読む人たちはそうだと、いいかえてもいい。

 京都では宿がよかった。この宿を愛する人から口こみで伝わること以上の宣伝をしない小さな宿は、清水寺に近い東山の山麓にあり、京都の市街地を座敷から見おろせる閑静な場所にある。ハイシーズンだというのに、我々のほか同宿者もなかった。それでよしとして、心のこもった家族的なもてなしをしてくれるのもうれしかった。満開の桜をあちこちで見、観光名所も案内したが、いちばん気にいったのは、嵯峨野の竹林と、天竜寺の枯山水の庭だった。竜安寺の石庭は人が多すぎて落ち着かないといった。

 奈良は東大寺しか見なかったが、三月堂の日光・月光菩薩の端正な美しさに魅入られたようだった。

 東京のはとバスの外国人向け一日観光コースは、よくぞこんなガイド(英語も、話す内容も、人柄も)を使っているものだと思えるほどひどく、せっかくのいい内容のコースが、すっかりぶちこわしだったが、そのひどさをジョークとして楽しんだ。これについては、別項で書こう。

 4時間あまりにわたる歌舞伎を、英語のイヤホーン解説付きで十分楽しんでくれた。演劇やオペラ通の彼女は、歌舞伎の洗練された芸の深さをすぐに分かったようだった。特に籐十郎と梅玉による「時雨西行」の、幽玄でアブストラクトともいえる演技を好んだのはさすがであった。

 ヒルダの家族、友人に旅の様子をリアルタイムで知らせようと設けたプライベートブログは、京都ではインターネット接続が得られなかったので、そう有効に活用できなかったが、水戸で桜並木を歩く彼女の姿を載せたエントリには、娘から「涙が出た。日本への旅は彼女の長年の夢だったから」とのメールがすぐに来た。

 わが家の家族全員がそろった東京での夕食会を、7年にわたる留学・滞米の間、ヒルダにしばしば世話になったわが家の次男が設定してくれた。外資につとめる彼は、もちろん流ちょうに英語を話すが、30年前、中学生として滞在して以来まったく英語を話す機会のなかった長男が、次第に調子を取り戻し、自然に話に加わったのにはおどろいた。若い頃に体験したことは、ふだん隠れているようで、残っているものらしい。泳ぎや自転車乗りなどと同じことなのだろうか。

 両方の家族全員が集まりたいね、という話になった。ハワイにしよう。その時には、ともに未婚の、ヒルダの息子トーマスとわが家の次男が、それぞれの伴侶を連れて参加することを目標にしようとも決めた。そのことをプライベートブログで伝えたら、すかさずトーマスから返事が来た。「ハワイで集まるというのは、great。僕はサーフィンを皆に教えましょう。伴侶云々は、I can't guarantee anything.  ;-)」と。

 たった今、彼女からメールが来た。午前3時、眠れずに起き出してきて、メールを書いている、まだ夢の続きを見ているようで、地上に降り立てないでいる、とあった。「さあ、これから私は "reality" に戻っていくのよ」と、成田で別れを惜しんだ彼女が、"reality" を取り戻すには、しばらく時間がかかることだろう。

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