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2006/05/11

ひどい英語ガイド、後日談

 外国からのお客さんを、東京で観光バスに乗せて案内したとき、英語ガイドがひどかったことをブログに書いた(『ひどいぞ、外国人向け英語ガイド』06/4/22)。そこに書いたように、このまま放ってはおけないと、観光バス会社に、様子を伝え、何とかせよと抗議した。少し時間がかかったが、今日、担当部署の部長から電話がかかってきた。会社も問題点を把握していたようで、私の申し入れがあったのを機に、例のガイドを辞めさせることにしたとのことだった。私の抗議と、会社の返答とを後日談として書いておく。

私の抗議文 前のエントリの内容と重複する部分があるが,抗議文を載せておく。

2006年4月25日

(株)○○バス
○○○部 御中

     英語コースガイドについて

 過日、米国からの来日した友人を案内して御社の英語コースを利用し、英語ガイドのレベルの低いのが極めて問題だと感じ、意見を申し上げる次第です。
 利用したのは、4月○日、コースは一日ツアーの「○○東京」、ガイドの名は○○さんでした。
 なにが問題であったか、詳しくは、インターネット上のブログに書いたもののコピーを同封しますから、それを読んでいただくとして、要点だけ書いておきます。なお以下は、私や私の客人が感じただけではなく、当日の40人を越えるお客さんの大半が同じような不満を持ち、怒っていた人さえあることを、道中の会話で知りましたことを申し添えておきます。
・英語の発音が、まったくなっていない。英語コースと思って乗ったが、これは英語ではない、何語か、と真顔で聞く人がいた。
・東京を案内するにあたり、適切な説明をしていない。特に歴史、国情、経済状況、現在の問題点、ルート上の地域、主要建造物などについて、外国からの客が知りたがるであろうことを的確、かつ簡潔に説明していない。
・かわりにどうでもいいこと、話すタイミングをえていないことなどを、だらだらとくり返す。同じことをひどい場合は、数回繰り返した。みなうんざりしていた。
・乗客が責任感のある大人であることを意識せず、幼稚園児のような扱いをし、簡単な注意事項を、何度も繰り返し、引率に当たっては命令口調であった。外国人は日本人より、個の自覚が高く、自己責任意識が強い。このような子供扱いは、彼らの最も嫌うところであるのにそれが分かっていない。
・個人の政治・思想傾向を出しすぎである。ガイド個人がどう考えるかは自由だが、ガイド内容は中立的でなければならない。○○さんは、国粋主義的発言が目立ち、また日本の自慢話(といっても有名企業の名をナンバーワンと、連呼するだけだったが)をし過ぎる。さまざまな考えの人がいることに配慮し、もっと外国人に対し謙虚に話すべきである。これでは、反撥を招くだけだ。事実多くの人の反発を買っていた。
・私がちょっとそのことをたしなめる発言をしたら、「年寄りは頭が固い云々」と、日本人乗客(当日はけっこう多かった)に向かって、日本語で話し始めた。客を罵倒するようないい方はひどい。お客様商売をしているとの自覚がないのではないか。また外国人を前に、日本語で話すことは極力避けるべき。私は内心怒ったが、取り合わなかった。

そこで、どのように改善すべきか、提案します。
・○○さんは英語ガイドとして、まったく適性を欠いています。他の業務に移し、外国人の前に出さないようにすべきです。
・貴社では、一般の日本語コースには、案内内容の指針あるいはマニュアルなどがあり、ガイドさんの研修などを実行していると思います。英語コースについては、同様の研修、管理体制がないのではないか。ガイド各人にまかせ放しになっていないか。検討すべきです。たとえば第3者の評価を覆面で実施するなどが考えられます。
・外国からツアーの参加者としてでなく、個人として来日し、○○バスの一日ツアーに参加する人は、知的レベルが高いと考えるべきです。事実私が当日話した客の中には、シリコンバレーのIT企業の経営者などもいました。このような参加者に接するということは、いわば日本の民間外交の第一線に立っているとの自覚が必要です。そのような観点から、ガイドの選定、ガイド内容などを社内で再検討すべきです。
・ガイドには、英語を母国語として話すか、同程度に話せる人を使うべきです。対日経験の豊かな外国人、あるいは滞外経験のある人、海外帰国子女などバイリンガルの人を採用して使うべきでしょう。多少厚遇が必要でも、会社としてその必要性を痛感すべきです。○○さんが15年もその職にあると聞いて、背筋が寒くなりました。彼ゆえに日本に対する悪感情を抱いて帰った人がどれほどいることか。日本にとって大きな損失です。

 なお、この意見書を担当部署止まりにせずに、会社の経営上層部にまで上げてください。その上で、責任あるご回答をいただきたいと思います。私は、これは日本の外国人受けいれに関して、重大な問題だと考えておりますので、しかるべき回答をいただけなければ、外務省やその他関係機関に、意見具申をする所存でいます。

会社でも問題にしていた 会社では、担当役員まであげて、どうするか検討をしてくれたらしい。このガイドについては、これまでにも同様の抗議が何回かあったそうだ。私が求めたように、覆面のレフェリーによるチェックも実施したという。その結果、たしかに問題があったので、本人に注意をした。その後しばらく収まっていたと思ったら、再び抗議が来て注意を促すということが何度か繰り返された。国粋主義的な発言については、ここ一年ぐらいひどくなったと、会社も把握していた。だいぶ問題児だったようだ。今回、役員との相談で、辞めさせることに決めたという。辞めさせるといっても、彼は契約社員であるので、契約を切るということのようだ。6月までの契約期間があるので、それまでは、ホテルへの送り迎えなどに配置換えするという。

ガイドの国家試験 母国語として英語を話せる人をガイドに使うことについて、会社も努力しているが、ままならない面があるとの説明があった。はじめて知ったのだが、通訳案内士(ガイド)国家試験(国際観光振興機構(JNTO)ウェブサイト|通訳案内士試験)というのがあるのだそうだ。そこに書いてある説明には

 報酬を受けて外国人に付き添い、外国語を用いて旅行に関する案内をする 「通訳案内士(ガイド)」になるには、国土交通大臣が実施する本試験に合格し、都道府県に氏名、住所等を登録することが必要となります。
 「通訳案内士」は、単に語学力が優れているだけでなく、日本地理、日本歴史、さらに産業、経済、政治及び文化といった分野に至る 幅広い知識、教養をもって日本を紹介するという重要な役割を担っています。
 来日する外国からの旅行者に日本の良い印象を持って帰ってもらうことは 、正しい日本理解の第一歩といえます。「通訳案内士」の仕事は、“民間外交官”ともいえる国際親善の一翼を担うやりがいのある仕事です。

 とある。この国家資格を持っていないと、ガイドとして働けない仕組みになっているらしい。 当然外国語ができるだけでなく、日本の歴史・文化などについての日本語による筆記試験が課せられている。悩ましいのは、帰国子女などで英語が母国語並みにできても、日本自体についての理解が足りなくて落ちたりするらしい。外国人には、日本語の筆記試験は難関だろう。そんなことで、専門学校などへ行って、養成講座を受講した日本人が受験してガイドになるらしい。会社の話では、英語が母国語並みで、しかもこの試験の合格している人の確保に苦労しているそうだ。この国家試験に問題があるのかもしれない。日本語での筆記試験はいるのだろうか。外国語で日本についての知識を持ち合わせ、外国人相手のガイドが十分務まる人が資格を得にくい仕組みになっている。

ガイドの資質は会社の責任 私が問題にしたのは、上記引用文の後半にもある「正しい日本理解」、「民間外交官」という点だった。資格を持っていれば、ガイドとして十分かといえば、それだけでないだろう。適切な案内をしているかどうか、ガイドの仕事ぶりをチェックし、指導するのは会社の責任だ。外国人旅行者に日本の説明をする仕事が、良い日本理解を持ってもらうという点で重要だと十分認識し、社内でも十分にチェック体制を取ってくださいと、あらためて要望して電話を切った。

しかし、気持ちは複雑 鯉のぼりが水に沈むところは見られなかったが、実質的に彼は、自分の言葉におぼれて、解職されることになった。この問題児を降ろしたという成果はあったが、さて、契約社員という弱い立場にある彼の職を奪ったことになる。ちょっと気持ちは複雑だ。しかし彼のことだ、別の会社に移ったりして、しぶとくやっていくことだろう。そこでも同じ調子でやられては、問題が解決しないのだが、少しは反省してくれるだろうか。

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コメント

これからアメリカの人を案内しようと思い、○○バスに乗ってみようと思い、この意見を見ました。

確かに観光バスのガイドは日本の顔ともなります。外国人の求めること、日本が発信したい魅力を、両方勉強してお客様に喜んでほしいものです。

ただ、ご意見の中で、英語の力・ネイティブ並み・帰国子女、といったことが絶対条件になっている感じなのはどうでしょうか?

日本人の英語に対する最大の弱点と勘違いがここにあると常々思っています。
言語の問題は、「ちゃんと伝わるか」です。私もとてもネイティブ並みとは言えないですが、普通に会話しいろいろな国の方と付き合っています。
ドイツやインドやオーストラリアやインドネシアやUSAのテキサスやニューヨーカーでさえ、しばしば理解に時間がかかります。ネイテイブって何だとさえ思います(笑)。
お年寄りのジャパングリッシュも時々接点がありますが(なかなかすごい発音だなとは思いますが)、むしろ意味がわかるのでOKだと思います。
帰国子女で日本の文化に実は慣れない人に英語力でガイドされるよりは、ジャパングリッシュの方に日本を紹介していただくほうが、むしろ日本を感じられるとも思います。

要は、外国の方に日本を伝え、喜んでほしいという思いのある方、そのために努力していただける方が採用される道であることを求めたいですね。

おやじギャグとかのガイドさんの本がありましたが、実情はどうだったのでしょうかねえ?喜んでいただいていたらいいんですが。
まあ、問題の方は辞めたということなので、安心して行ってきます。

投稿: ガイドB | 2015/11/25 00:57

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