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2006/07/13

元職場の現状を憂うこと

 このところ、めずらしく元職場の人など、古いつながりの人と会って話をする機会が続いた。HP本館やブログに書いて来たので、退職前の組織やその業界、それに関わる人々との関係にどう処するか、私の原則的な考えを読んでくださった方もあるだろう。できる限り距離を置く、会合には出ない、職場には顔を出さない、現役の人から意見を求められても逃げる、などなどである。しかし、個人的な関係まで絶つつもりはない。声がかかれば喜んで出かけていく。

 きのう(といっても、ココログのトラブルで掲載が遅れた、7/10のことである)は定例的に会うことにしている友人たちとの昼食会だった。まめに世話をしてくれるSから電話があると、それだけのために東京へ出かける。都心にあるホテルの高層階のレストランに昼前に集合する。ランチメニューをそれぞれ好きに選んで、1ー2時間ほどの会話を楽しむ。SとYと私、3人は常連だが、ときにそれが6人になることもある。働いた職場には研究者と事務屋がいた。両者は別の人種だった。互いにあまり付き合いはなかった。だが今こうして集まっている中で、私一人が研究者出身だ。どうしてそこに私が入っているのか、不思議に思うこともある。事務屋の中では硬派だったYは、なれ合いの付き合いを好まない方だった。そのYと私は、ある問題に手を組んで関わったことがあった。それ以来の同志意識があるといえばある。Sは、まめに人と人をつないでくれる。どちらかというと、組織に埋没せず自分の考えを貫き、退職に際しても組織に未練を残さなかった、そんな傾向の人を集めてくれている。

 集まって話すのは、現在の自分の生活についてだ。海外への旅を楽しんでいるYと私、趣味の農作業に精を出す二人のK、山登り仲間を持つSなど、それぞれに話題は豊富だ。それでもかつての職場のことも話題になる。特にこのところ大きな変化があったことは、避けがたいトピックスだ。働いていた機関が他機関と統合された。行政改革の一例だ。研究機関が、開発機関といっしょになった。こういう場合によくあることだが、悪貨は良貨を駆逐する。研究を大事にする気風が次第に失われているらしい。後輩たちは苦労していると聞く。

 つい1週ほど前の別の会合でも話題になった。こちらのほうは、組織の司令塔ともいうべき部門にある時期働いた仲間の集まりだった。その部門のトップだった人が、先ごろ公的な委員会の長を引退したのを期に集まった。そこではもっと激しい議論が交わされた。だれもが、この業界のあるべき姿にそれぞれ一家言持つている。二つの機関の統合後の現状、統合により失われたものの大きいこと、先行きの心配などを語り、何とか働きかけをすべきだとの主張が大勢を占めていた。私は異論を述べた。現職にあるものが現状を打開するしかない。辞めたものは黙してそれを見守るだけでいいのだと。

 大なり小なり、組織の運営を担ったものは、こう考える傾向がある。自分たちがやっていた時期はいちばん大変な時代だった。あのときが曲がり角だった。それを俺たちはうまく乗り越えた。組織の絶頂期をもたらした。そのあとが悪かった。今はひどいものだ、と。そのような昂ぶった声の前で、私はいつも隠居のあり方を説く。時代が移りゆくごとに、担い手は変わる。現在の問題は、現在の担い手がいちばん分かっている。彼らは苦労してそれを乗り越えようとしている。先輩からは頼りなく見えるが、彼らは彼らなりに最大限やっているのだ。思い出してみればいい。自分たちが現役のときに、先輩たちは心配げに見ていた。口出しもあった。過去のあり方をよしとし、それを変えようとすることに反動が来た。それと同じことの繰り返しではないか。そんな私の言い分は、退職後も業界にとどまっている気の、元気のいい連中にはあまり受けなかった。

 3人の会では、そんなことがあったと、淡々と語った。こちらのほうは私の考えを納得してくれた。

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