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2007/01/06

軽水炉使用済み核燃料からの原爆は実験済み

 あまり知られていないようだが、インターネット上には、かなり細部にわたる原爆情報がある。それらは、どれも機密解除された情報にもとづくものらしい。その情報によると、アメリカは、軽水炉使用済み燃料から回収されたプルトニウム(プルトニウム240含有量19%超)を用いて、実際に原爆を作り、実験している。1962年に実施し、20キロトンという長崎原爆並みの原爆が作れることを実証した。そのことは1977年に公表されている。カーター政権がプルトニウム利用や高濃縮ウランの国際規制をきびしくする政策を打ち出したことと符合する事実だ。

 技術評論家・桜井淳は、このような事実がインターネット上に公開されていることを知らないようだ。だからだろう、軽水炉使用済み燃料で原爆が可能かどうかを、ああでもない、こうでもないと初歩的なレベルで論じている。それでいて、インターネット上にはたいした情報はないと断言している(ここ)。この人は、北朝鮮の原爆実験後、テレビや新聞などから求められ、コメントしている。原爆に関する知識や情報取得がその程度では、間違った情報を流布するのではないか、心配である。

 原爆に関して物理的なことは原子炉設計ができる程度の知識で十分とし、難しいのは爆縮技術だけ、としている。しかし爆縮時の物理過程についても、インターネット上の情報から学んでみると、炉物理とは別分野といってもいい「原爆の物理理論」があるようだ。この物理理論について、桜井淳は非常にお粗末な知識しか持ち合わせていないようだ。そうでなければ書かないようなおかしなことをブログに書いている。例えば、原爆の爆発効率について、静的な臨界量をオーバーする分が爆発量となるなどと書いている(ここ)。爆縮による圧縮によって臨界量が半分程度の少量になることも知らないし、ましてそれがなぜなのかも知らないだろう。現行の起爆装置(中性子源イニシエーター)についても、私と議論になったが、いつまで待っても正解を出せずにいる。それもインターネット上にある。プルトニウム240が(242もだが)、核分裂性物質であることも知らないようだ。プルトニウム240だけも原爆が作れるのである。したがって高燃焼度の使用済み燃料からでもプルトニウム原爆ができるのである。

 詳しいことは、ラジウムについて論じたときのように、専門的になるので、少し時間をいただいて別サイトに書くことにする。そこにインターネット上の情報で取得した「原爆の物理的問題」を何編か書き足していくつもりだ。私の意図は、「原爆を作るために」必要な知識を追究することではなく、われわれの安全保障上重要な「近隣国の原爆技術を間違いなく評価する」のに必要な知識のレベルを上げることである。日本の原子力技術者は、そこに深入りするのを避けてきた。それゆえにいい加減な知識が横行する。原爆を作ることはない。しかし原爆についての科学的知識を詳しく、正確に獲得することは、安全保障上重要ではないかと考えるのである。これについては、識者の議論をまちたい。

 なお、私がインターネット上のサイトを知ったのは、起爆装置について桜井淳と議論になったときに、ここに書いてあるよ、とメールで教えてくれた人があったからだ。その人にこの場所で感謝しておく。私も無知であった。まあ桜井よりはましだが。それに私の無知は、全く無害だ。桜井の無知は、その社会的立場からして、有害であろう。原爆について間違った情報を垂れ流すのをやめ、マスコミの問い合わせに、「私は原爆については無知です」と口を閉ざすべきだろう。

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