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2007/01/17

桜井淳を、なぜ私は見限ったか

 技術評論家・桜井淳が、私を「門前払い」にすると書いた(ここ)。笑わせる。門前払いとは、来訪者に対していうことだ。ここ何年か、拙宅に来訪し、こちらの貴重な(老い先短いから)時間を割かせたのは、桜井ではないか。私は桜井と会うことに何のメリットもない。来宅して、あれこれと意見を請い、論文草稿を送りつけてコメントを求め、ブログの立ち上げ方の指南を求め、最近では応募している数多の教職の問い合わせ先になってほしいと依頼してきた(まだ一度も問い合わせはないが)のは、桜井ではないか。私は桜井の自宅を訪問したことはないし、全くその必要がない。わざわざ門前払いなど告げることはないのだ。【ココログの24時間メンテナンスのため、即時に反論を書けなかった。私の反撃を期待していた方には、待たせて申し訳なかった】

 桜井に対して、私は好意的に対応してきたつもりだ。しかし、私はそれをやめることにした。このところの私の発言から、それは感じ取っていることだろう。なぜか。彼は分かっているはずだ。いくつかの理由があるが、最大のものは、彼が私に対して、卑劣な背信行為を犯したからだ。なにのことか、桜井には思い当たるだろう。今はとりあえず明かさずにおく。

 ほかにも信頼を裏切った事項は多々ある。人の意見を、さも自分の考えのように発表する手口。パクリという、はしたない言葉を桜井には使っている。彼がブログに書く。私が、口頭で、あるいはメールで、意見する。それをそっくりパクって書く。文筆で身を立てるものは、ある意見を公表し、それを変えるときには、誰それから指摘を受けたので、このように書き換えた、と断るべきだろう。人に聞いたことを書くときにも、そのことを明らかにし、本人に了解をとるべきだろう。その種のモラルが桜井に欠けている。

 ほかにも理由がある。彼の技術的知識の浅薄なことを、身近な事例で知ったからだ。桜井がいうとおり、私は原子炉安全の専門家ではない。だから、原子炉安全についての彼の論には、専門的知識をもって批判的に発言することは避けてきた。私の回りにいるそのほうの専門家の中には問題にする人が多いが、基本として彼の向かっている方向は、まずよいとしてきた。

 しかし、最近原爆のことを問題にして彼が書いたり言ったりしていることには、私も多少知識がある。彼は私を固体物理(これを「個体物理」と書くとは、どういうことか。それでも物理学者を名乗るのか)の専門家に局限したいらしいが、じつは私は、日本において炉物理実験がそもそもが始まった時期に、その第一線にいた。私の最初の十年の研究歴は、炉物理実験の分野であり、ある臨界実験装置については、その設計から実験までを行った。桜井のように既製の装置で、研究者の指示に従い、決められたテーマの実験補佐を行ったというのと、質が違う。まあ、そんなことで張り合うのもみっともないことだが、たとえていえば、医師と臨床検査技師との違いであろうか(断っておくが、私は職能の違いを言っているのであって、職の貴賤を言っているのではない)。私はその後、炉物理は、サイエンスではなく、応用の学であるエンジニアリングの一分野であることに気づき、固体物理へと転身したのだ。

 原爆の技術的問題に戻っていえば、彼がいくつか発言していることから、彼の炉物理に関する知識が初歩的レベルで間違っていることを知った。それをメールで書いてやっても、パクられるだけだから、公の場でその誤りを指摘しはじめたわけだ。私の指摘に対して、何度か、さらに間違った反論を書いたあと、その問題については口を閉ざした。彼の知識の限界なのだろう。いまだに正解を見いだせないでいるようだ。

 まだある。私の最近の発言でいちばんこたえたのは、彼が原子力界の裏も表も知り尽くしていると誇大発言をしたときに、私が、そのキャリアからしてそんなでかいことを言うなとたしなめた(『言い過ぎだよ、桜井淳』06/12/31) ついでに、事故時の電力会社の彼への対応ぶりに触れたことのようだ。はっきり言っておくが、そのような話を、私がでっち上げるわけがない。その必要がないから。桜井が、私の書斎に座り、対面した私に得意げに打ち明けたことをそのまま書いたまでである。その時、彼は自分が日本の原子力業界でいかに重要視されているかを、私に向かって強調したかったのだろう。それが作り話とすれば、彼が作ったことになる。私は、事実だろう、さもありなん、と信じたが、私は騙されたのか。

 先の「門前払い」エントリで、私を咎めて「ネット害虫の"ネットイナゴ"が作成した匿名の中傷サイトを引用し、私を攻撃したことです。内容の信頼性すら確認されていない匿名文書や匿名サイトを引用」した、とあるのは、何をいっているのか。桜井が指しているサイトや掲示板は、たぶんあれだろう。私も最近知るようになった。桜井も専門外の分野で余計なことをいい、咎められて苦労しているなと、気の毒がってみている。しかし連中は今や、私のことを応援気味ではないか。それはともかく、そこから何を私が引用する必要があるのか。痛い指摘を、桜井のいうネットイナゴのせいにしてかわしたいのだろうか。普通の健全な批判をする人々を、ネットイナゴと蔑称する。そこも問題だ。

 もう一つ書いておこう。桜井が書くものに、隠しようもなく顕れる彼の人間性、人間理解の浅薄さに非常に問題を感じる。権威にすり寄り、弱いものを叩く。自分を権威ある側に置こうとする(あの銀杏並木サムネイル、私が指摘して以後、消えたね。でも過去のエントリに、ひとつのエントリに10も貼りつけているのがあるよ。正気?)。前にも書いたが、桜井ほど博士風を吹かす人を知らない。研究者の間では学位は当たり前だから、そんなことを口にするのを恥じるのが普通だ。出入りしているだけで、やたら東大、東大というなよ。査読付論文を自慢するなら、被引用回数を調べてごらん、それこそ論文の価値を計る尺度だから。この権威主義的傾向と裏表の関係で、人をバカ呼ばわりする。一流を口にし、二流、三流を馬鹿にする。大学入試の偏差値をいう。自分が三流であることを潜在的に感じているものに限って、そのようなことを安易に口にする。どれだけひんぱんに彼がバカとか、三流とかをブログに書いているか。読む人は知っているだろう。

 誰が彼のブログを読みにいっているか。まっとうな発言を求めて彼のブログを訪れる人がいるだろうか。ほとんどの読者は、桜井がいかに愚劣な発言をしているか、嘲笑するために、あるいは、非難するネタを探しに読みにいっているのではないか。桜井はそのあたりを真摯に反省し、しばらく筆を折り、出直した方がいい。忠告しておこう。

 付言しておくが、私はハンドル名で書いているが、本名その他の経歴は「プロフィール」からリンクしているHP本館のプロフィール欄で明かしている。桜井が私の本名を明かすと脅しているが、今さらその必要はない(もっとも、大学名や経歴の詳細は明言しないできた。それを明かされたことで、私はマイナスイメージを背負うことになる)。私は、桜井の書いたことに反論する際には、いちいちリンクをつけ、そちらの言い分が読者に分かるようにしている。コメントも受け付けている。桜井は、私の書いたものを引用もせず、一方的に反論を書く。読者に両方の意見を読ませるのがフェアではないか。それがネット上のルールというものだ。ネットは会話の場である。一方的に自分のいいたいことを垂れ流すだけではネットの世界に住む意義がないし、そのうちに住めなくなるのではないか。

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コメント

このお人は残念ですが論ずるに値しません。その書き様でどのような考えの持ち主であるかは一目瞭然、まさに文は人なりです。とはいえアクさんを全面的に支持することを表明しておくことは何らかのお役に立つかもしれないので、一言コメントを差し上げる次第です。

アクさんのブログはRSSで新しいものがあれば常に拝見しています。高い調べのエントリーを期待しています。

投稿: 柳絮 | 2007/01/17 20:07

桜井氏の人格はこの一言に尽きると思います。
http://www3.atwiki.jp/saku_saku/pages/111.html
このエントリは早速消されました。

彼が開いている読者質問コーナーと称するエントリで、
まともな質問、指摘をしたであろう人達に対して書いています。

まぁ私もアクさんが最近知るようになった掲示板の住人です。
そのスレッドの過去ログを調べてみるのもいいと思いますよ。

投稿: 通りすがり | 2007/01/17 20:46

柳絮様

「歓談のサロン」
http://homepage3.nifty.com/willowbrook/frame-salon.html
の柳絮さんですね。ご無沙汰しました。英国にて、マイペースの生活をしておられるご様子。ときおり拝見しております。
コメントありがとうございました。

このような見苦しい競り合いをやっている我が身に、天の声のように、「高い調べを」とご意見。ありがたく拝聴いたします。

投稿: アク | 2007/01/17 21:13

アクエリアンさん、こんばんは。

今、桜井氏に関することで一番危惧しているのは、このエントリーです。

「市民科学」を育成する難しさ-準備期間一年間の感想-
http://citizen-science.cocolog-nifty.com/blog/2007/01/post_709b.html

>これだけのことをするだけでも多額の資金が必要にな
>ります。

>いま、学術助成金の獲得のために、努力しております。
>定期的な研究会開催と査読付論文誌刊行には、人的に
>も、資金的にも、時間をかけて、慎重に、対応しなけ
>ればなりません。

件のブログの内容、または書きかけの項目が多数ある現在、桜井氏が設置を目指している「市民科学」は、早期に破綻することが目に見えています。
その場合、桜井氏の知名度や「権威」を信じて投資した者から損害賠償請求がなされ、最悪詐欺罪で懲役刑という事態が考えられます。

そうならないためにも、桜井氏の発言には常に気をつけ、世間に注意を喚起することが必要だと思われます。

投稿: 木村 孝 | 2007/01/17 21:30

木村 孝さん

桜井淳が「市民科学」とウェブ上の査読付論文誌を立ち上げるため、ブログを設置したいと、相談を受けたのは私でした。そんなことは、できるはずがないと思いながら、つきあっていました。そのあげくの果てがこれです。彼の論文なるものが、主な論文誌から却下されてきたので、自分で論文誌をウェブ上で作り、自分の論文を公表しようというわけです。私を査読者に担ぐつもりだったのかもしれません。ご覧の通り、彼の思惑はパーになりました。それでも彼が「学術助成金」なるものを得られるようでしたら、私は、その機関の眼力を疑いますが、そんなことはないでしょう。彼のブログを示されて、それをポジティブに評価する人はないでしょう。

そちらでも、彼の虚構をついているのは分かっています。私も、彼の対応次第で、書かざるをえないでしょう。マスコミもそろそろ彼の実態に気がつくのではないでしょうか。

投稿: アク | 2007/01/17 21:58

つまるところ、彼の意見に同意するものが彼の勝手な定義で言う所での「市民」であり
そうでないものはすべからく「ネットイナゴ」なのです。

端的に言うと、ファシズムです。
アクセス数向上のための煽りでなく、本気で言ってるのならば、社会性のない市民失格者です。

投稿: 名も無い市民 | 2007/01/18 01:26

人の意見をパクルのはダメ。
人や企業を(言葉の意味どおり)バカや三流と罵るのはダメ。
議論に感情論を持ち出すのもダメ。

でも、本当の意味で驚いたのは最後のentry

>>
最後には、そこに行き着き、M.Iを巻き込むスキャンダルに発展することがわかりきっているからです。私が、本気になれば、複数の研究機関が潰れるくらいの情報は、つかんでおります。
<<

ただ議論しているだけなのに。喧嘩と議論を履き違えている。

アクさんへ
応援しています。

投稿: hoge | 2007/01/18 22:45

hoge さん

引用している彼の言葉は、脅迫です。「三流」のジャーナリストというか、赤新聞記者などのやる手です。

ただ、彼は、私を相手にしたくないようですから(それが「門前払い」の意味でしょう)、彼がブログエントリでひどく間違ったことを書かない限り、口出しはやめておきます。

「桜井もの」は、私のブログの常連読者にとっては、違和感を感じるものでしょうから。

投稿: アク | 2007/01/19 09:43

初めまして。

エセ技術評論家の真の姿をお伝え頂きありがとうございます。

ゴシップ誌よろしく中身が無いのに煽るだけ煽り、自身を誇張
して見せる事しかしない彼と、真摯な態度で技術を語る貴殿と
では、第三者的に公平に見て明らかに貴殿に分があります。

今後、彼が卑劣な手段と愚劣な文面で貴殿を煽ろうとも、
この評価は全く揺るぎません(彼程度では揺るがせられも
しません)。ご安心下さいませ。

文字の量だけは彼の方が多いですが、知性に基く文力とは
積分値で評価されるべきで、彼のそれは質や品格が極めて
低俗で、積分値は貴殿のそれに遠く及びません。

願わくば貴殿には彼の精神レベルに合わせてご自身を貶めて
しまわぬよう、ご自身をより高く保って、一線を隔していて
頂きたいと願っています。

ただ、我々大衆が理解し難い原子力関連のネタについて
彼が今までのように客観的技術的に明らかに誤ったミス
リードを行おうとした際には、我々では理解しにくいその
原子力関連の正しい情報を、噛み砕いてお伝え頂けたらば
幸いです。

以上、乱文失礼致しました。

 

投稿: 一市民 | 2007/01/20 11:46

御意。
S氏は、アクさんが、わざわざお相手される価値もない。

小心者のネットバッタより

投稿: 小心者 | 2007/01/20 12:21

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