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2007/01/28

原子炉級プルトニウムによる核兵器実験の米政府公式発表

 1月21日のエントリ『軽水炉使用済み燃料からプルトニウム原爆ができるか』と、そこでリンクした別サイトで、この問題に関する日本でのオピニオンリーダーの今井隆吉が、米側の情報に接しながら、結論をすり替えて日本側関係者に伝えたため、正反対の結論がまかり通っている次第を指摘した。それを見破れずにいる、技術評論家・桜井淳は、今井情報を鵜呑みにしているのだろう。自分のブログで「世の中には軽水炉の高燃焼度燃料から抽出したプルトニウムで"兵器級プルトニウム"並みの爆発力が得られると錯覚しているバカがいる-まだ、実験的に証明されていない-」(07/1/19)を書いた(ここ)。タイトルだけで、本文がない。その後、気がひけたのか、タイトルの「バカ」は「ひとたち」に書き直された。ともかく、技術評論家として、こんなでかい態度でタイトルを書いておいて、もしそれが間違いだと分かったらどうするつもりだろうか。まっとうな分野であれば、これだけの間違いをやらかすと、もうその世界では、信用を失い、技術評論家としてはやっていけなくなると思うのだが、どうだろうか。

 さて、じじつ、彼がタイトルで主張したことは、間違いだという証拠が出てきたのだ。先日から私が説明してきたことの裏付けが出てきた。米国政府の公式発表である。『原子炉級プルトニウムの地下核兵器実験についての追加情報』(アメリカ連邦政府・エネルギー省・報道官室、June 27, 1994)が、ここにある。私がこれらの問題を論じるために作った別サイト(今回正式名称「核兵器物理に関する諸問題ノート」をつけた。以後「ノート」と略称することにする)に、日本訳を掲載した。詳しくは、こちらをご覧いただきたい。公式発表には、想定問答集もついていて、そこで明らかにされているように、「核拡散を目論む人たち(端的に言えば、核物質を手に入れ核兵器を製造しようとするテロリストあるいは国家、のこと)」に益となる情報を出すわけにはいかないと、核物質の詳細などは、公開されていないが、米政府が原子炉級プルトニウムを用いたと公式に述べているのだから、商用炉の使用済み燃料から回収されたプルトニウムが用いられたことは間違いない。

 なお、プルトニウム240の量による影響については、よく知られており、私も何度か書いた(『軽水炉使用済み核燃料からの原爆は実験済み』07/1/6)が、使用済み核燃料からの回収プルトニウムは、240の量いかんによらず、核爆発材料として使えるのである。だから、高燃焼度燃料からの回収プルトニウムでも核兵器に使えることが、この実験で実証されているのだ。このあたりは、桜井が、実際使われた回収プルトニウムでは核爆発したとしても、高燃焼度ではできない、などと反論しないために、あらかじめ書いておこう。この点については、いずれノートで詳細を書くつもりだ。前回のノートの最後のあたりに引用したが、IAEAの高官も「プルトニウムがその組成如何に関わらず核兵器材料たり得ることは議論の余地がない」と言明していることなのである。

 本項の米政府の公式発表の文書は、前回分を読んだ読者からメールで教えていただいて知った。ここに感謝しておく。この問題に関してわたしが最近書いていることには、読者の関心が高く、このように情報を寄せてくださる応援者がいることは心強い。

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