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2008/01/31

索引のない本

 日本で出版される本には索引の付いていない本が多い。小説やエッセイなどの文学作品は別としておこう。多少なりとなんらかの見解を主張する類の本には、索引を付けるべきである。欧米の出版物では常識である。本はある種の情報のかたまりである。本を読む目的の一つは、さまざまな情報に接することである。その情報を自分なりに処理し、取捨選別し、他の情報とつないだり、自分の経験と照らし合わせることで、思索が刺激される。場合によっては、同じ本を繰り返し読み返す。本を読みながらも、前に書いてあったことにさかのぼりたくなる。そんな時に、本につけられている索引が役に立つ。

 書店で本を手にする。目次やあとがき以外に、索引を一覧する。何が扱われているか、どんな人が言及されているか、いないか。それが本を買うか、買わないかの判断の目安になる。ところが本に索引が付いていないと、その手がかりが得られない。索引のない本が多いということが、日本における著者、出版社、編集者そして読書人の意識のレベルを反映しているように思う。このデジタル時代、索引を作成する手間はかなり軽減されている。それでも、充実した、的確な検索語の選択など、著者と編集人の力量に負うところは大である。良質の索引が付いていれば著作の価値も高まる。著者、出版社、編集者に「もっと『索引』を重視して」と呼びかけたい。

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2008/01/25

間違ってさえいない(「迷い道」にいるのか、物理学、その2)

 量子力学の創始期に、重要な貢献をしたヴォルフガング・パウリという物理学者がいる。電子スピン概念の導入に至った排他原理(禁制法則とも)、ニュートリノの存在の予言などで知られている。1945年にノーベル賞を受賞している。この人は、同僚や若手の物理学者の新説に対して歯に衣着せぬ鋭い批評をすることで知られていた。研究会などでの講演を大声でさえぎって、「間違っている(wrong)」とか、「大間違い(totally wrong)」と言ったという。その彼がもっとひどい説に対して使った表現が、 「間違ってさえいない」(not even wrong)である。スーパーストリング理論批判の書として2冊目に読んだ本のタイトルがこれである。日本語への翻訳本は、せっかくの原題を変えて「ストリング理論は科学か」となっている。

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2008/01/22

「迷い道」にいるのか、物理学

 現代物理学の最先端、素粒子物理学、は、どうやら現在、どうしようもないへんてこりんな迷い道に入り込んでしまい、身動きもならないらしい。しかもその状態が過去20年とか4半世紀続いている。物理学者の中でとびきり頭のいい連中が挑戦しながらも、その分野は何の解決策を生み出さないまま、無駄と思われる議論を続けている。全員が集団思考に囚われているため、内部から批判や研究方針の転換を促す声が出ない。高度な数学理論を寄せ集めて、蜘蛛の巣が張り巡らされたようになっている議論の中身には、外部から批判の向けようがない。しかしいくら何でも、そんなに長い期間かけて何の成果もあげていないのはおかしいではないか。それでいて最も優れた若い理論物理学者の頭脳と有名大学や物理学研究所の理論物理学講座のポストという人的資源と、研究助成金という資金的資源とを独占し続けることは間違っている。そのような批判があちこちから出るようになってきた。

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2008/01/21

退院しました

 本日、1月21日(月)、18日間の入院を終え、退院しました。ご心配をかけたことおわびし、お見舞いのメールやコメント、電話などを感謝いたします。顔面神経麻痺は、まだ部分的に残り、現状では半分程度の回復と医師に言われましたが、今後時間をかけて徐々に治っていく見通しです。とりあえず、退院のお知らせまで。

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2008/01/16

息子の入院見舞いで、親子関係を顧みる

 私の入院を知って、息子たちが見舞いに来た。重大な病気でもなし、わざわざ東京から一日を費やして来ることはないと伝えたのだが、それでもやってきた。それが嬉しかったのである。親子の情が通じ合っていることを喜ぶ自分の気持ちが意外だった。わが家の親子関係は、普通の家庭に比べてかなりさばさばしたものであると自認していた。それでいて、この感情。その出来事をきっかけに、わが家の親子関係を顧みて書いてみようか、という気になった。【病室で書いたものを、午後2−3時間の一時帰宅時にエントリアップしている。退院は1週間後の予定。麻痺は3割程度回復。時間はかかるが快癒の見通しか】

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2008/01/11

入院中

 新年を迎えて書いた前のエントリで、「顔面神経麻痺(ベル麻痺)」を患ったことに触れました。わたしの素人判断が甘すぎて重症となり、現在入院中です。ちょうど年末年始の休み時期であったため、病院に行くのをためらったのが不幸でした。なんとかして急患としてでも病院に駆けつけるべきでした。親類の医師から耳鼻科がこの病気の専門であると知り、1月4日に近所の医院へ行き、そこからの紹介で、水戸市内の総合病院へ紹介、即入院となりました。遅れて治療を始めたため完全に回復するかどうかのきわどいところでした。現在回復の兆しが見えてきていますが、時間がかかりそうです。ステロイドの大量点滴を開始し、経過を見ながら徐々にその量を減らしていくという治療を受けています。10日ほどの入院が必要と告げられ、現在一週間経ったところです。回復の見通しありとの診断は出ていますが、さらにブーストと称する、二度目のステロイド注入をくり返しすことになりました。さらに一週間程度病院にいることになります。ネットもメールもできない環境です。緊急のメールや掲示板の迷惑書き込みに対応したいと、2,3時間の一時帰宅を願い出て、帰宅してこのエントリを書いています。
 入院は、ゆっくり本を読んだり、ものを考えたりするいい休養の時間だと思っていましたが、点滴、診察、検査、顔面のマッサージ、食事などけっこう忙しいです。あたりは騒々しく(隣室のおばさんたちの絶え間ないおしゃべりなど)落ち着けません。消灯時刻、夜9時を厳守させられ、寝つけない、早く目覚めてしまうなどにも悩まされます。顔面をのぞけば、身体は普通なのですが、すっかり病人気分になり、思考も低レベルで推移しています。
 そんなことで、あとしばらくご無沙汰します。

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2008/01/03

新しい年

あけましておめでとうございます。
本年もこのブログ上でのお付き合いをよろしく。

わが家では、家庭新聞「てとら」をお送りすることで年賀状の代わりとしています。その08年号をHP本館に掲載しました。そこに現状報告を書いています。よろしければ、ごらんください。

 このところすでにそうなっていますが、このブログの新エントリ掲載はますます間遠になると思います。ここに何かを書かなくてはという、責めたてられるような気持ち、大げさにいうと強迫観念、をさっぱりと捨てて、興に乗ったら書くということにします。年齢相応にスローペースでやっていこうということです。RSSリーダーで見かけて、面白そうだと思われたら、読みにおいでださい。

 近況報告を少々。

 年末に顔面神経麻痺を患い、折悪しく治療を受けられず、経過がよくない状態です。病院が年末の休院中であったこと、この病気は2度目で、前回医者から即効の治療法はなく自然治療に委ねるほかないといわれたのを覚えていて、甘く考えてしまいました。時間がたったわりに快方に向かっていません。休み明け次第、診察を受けにに行くつもりです。

 年末年始にかけて、とても興味深い本を読みました。リー・スモーリン「迷走する物理学」。物理学の最先端、素粒子物理がほとんど行き詰まっているのではないか、それは現在の物理学研究のあり方が間違っているのではないか、という告発の書です。「ストリング理論」の歴史を一般向けに解説した上で、物理学研究者と自然科学研究者へ鋭い警告を発しています。非専門家にも、現代の科学をどう考えるかについての手がかりを与えてくれます。久しぶりにゾクゾクするような知的昂奮を味わいながら、450頁をじっくり読みました。いずれ、少し詳しく紹介するつもりです。

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