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2008/04/30

ヨーロッパへの旅から帰って

080430colmar

 旅から帰ってもう5日になる。いつものことだが、大きなイベント終了後の虚脱感、疲労、それに雑用の処理などで、平常の生活に戻るのに時間を要する。非日常からリアリティへの回帰期間というか。

 旅の簡単な報告をしておこう。盛りだくさんの旅だった。ベルギーの古都ブルージェに重点を置いたフランドル地方、クルーズ船によるライン河の遡航、アルザス地方ワイン街道とストラスブール、そして昨年に続いて黒い森地方エッツェンロート(旧友との再会)と、何カ所かをつないだ旅だった。

「夜警」など絵画鑑賞の旅 羅列すれば大小さまざま、たくさんのハイライトがあった。フランドルでは、アントワープ、ブリュッセルの主な観光スポットを駆け回った。ブルージュでは宿が好位置にあったのを利して、朝から夜まで根限り歩き、撮り回った。オランダに入り、キンデルダイクの風車群を見て、デルフトへ。フェルメールの住んだ町の雰囲気をちょっとだけ味わった。ハーグに立ち寄り「真珠の首飾りの少女」に再会する可能性がチラリと見えたが、時間が足りず果たせなかった。アムステルダムではキューケンホーフ公園へ。チューリップを見るにはやや早すぎだったよう。今春のヨーロッパは春の訪れが少し遅め。国立博物館では「夜警」と「ミルク・メイド」。二つそれぞれに何度見てもすごい。十何年ぶりだったが、「夜警」の展示場所が変わっていた。以前のように、いきなりどんと目に飛び込んでくるという衝撃がなかったのは残念。季節のよくなった春の土曜日午後ということもあって、館内は人で溢れていたが、かまわず丹念に見た。絵画鑑賞の話題ついでに先回りしよう。旅の後半、コールマールで、グリューネヴァルトのキリスト磔刑図にお目にかかった。宗教的シンボルとしての十字架像にはネガティブな感情しか持ち合わせないのだが、この絵の凄みには正直打たれた。

ラインは産業の動脈 アムステルダムからストラスブールまで、ラインを遡航した。川沿いの村落や町の古めかしい佇まい、高く聳え立つ古城、丘陵の斜面にひろがる葡萄畑などの田園風景などは想像通り。特にロマンチック・ラインと呼ばれる部分は、ずっと以前川沿いにドライブして見たものとの再会だった。クルーズの良いのは、川沿いに見えるものをずっと眺め続けることができることだ。そうすることで得た新しい印象は、この川が果たす流通の役割と、それによって支えられる重工業の立地についてである。のどかな田園風景を眺めていると、突然、圧倒するマスを持つ産業施設が、まったく異質なものとして現れる。複雑に絡む配管類とタンク、白煙を上げる煙突の林立。重化学工業のBASFの工場など何キロにもわたって延々と続く。河岸を浚渫して、船が接岸できるようにした港湾設備が何カ所もある。なるほどラインをこのように使ってきたのかとはじめて実感する。同じことは石炭火力発電所にもいえる。数え切れないくらいの発電所を見た。20カ所は超えているだろう。古いものも多かったが、最新の設備も、建設中のものも見た。大きなクーリング・タワーは、もはやラインの水を冷却に使えないということだろう。発電所で燃やす石炭を積んだ船がひっきりなしに往き来する。炭田地帯もラインに近いのだろう。そこから各発電所に水運で石炭を運べる。河用に小型化されたタンカーの往来も盛んだ。なるほどラインは流域の産業経済に動脈の役割を果たしているのだ。姿を変えてきたとはいえ、大河の果たす役割は古来から変わっていないのだろう。

日本人借り切りのライン・クルーズ ライン・クルーズの途次、何カ所か上陸し、観光スポットへ出かけた。ナイメーヘンからゴッホのコレクションで知られるクレーラー・ミュラー美術館、ケルンで大聖堂、リューデスハイムでワイン酒場街(ここではワイフとめちゃくちゃダンス)、マンハイムからハイデルベルクなどを訪ねた。このクルーズはある旅行社が百数十人乗りの船を借り切って企画したものだ。船上でいろいろの催しがあり、食事とともに楽しめたが、全員日本人でこの規模という旅ははじめてだった。本体のクルーズのほかに、オプションとして直前にフランドル地方へ3日間、直後にアルザス地方へ3日間の旅を追加できた。こちらはそれぞれ十数人の旅だ。私たちは欲張って両方に参加した。

ワインとコウノトリ アルザスでは、コールマールに3泊してこの町のほか近隣の町を訪ねた。葡萄畑が広がり、アルザスワインを産する地方だ。どの町へ行っても、アルザス特有の木組みの建物が目につく。木造だのに背が高い。5、6階建てもある。上の階へ行くにしたがって張り出しているのもアルザス風だ。コウノトリも名物だ。みやげもの屋にはコウノトリのぬいぐるみ、陶製人形が多い。ワインは白のリースリングが売りだが、私にはフルーティすぎ酸味もあり、あまり好みでなかった。それよりゲヴルツトラミネールが気に入った。ものによってはやや甘口だが、芳醇な味と香りがよかった。

運河の町を三つ コールマールは、「プティ・ヴェネチア」と呼ばれることもあり、ここも運河の町だ。あとに出てくるストラスブールもそうだ。ブルージュが石造りの町だとすると、この町は木造の建物と緑が多い町で、親しみやすい。このエントリに添えた画像で、その町の印象を伝えたい。この町に、先に書いたグルーネヴァルトのイーゼンハイム祭壇画がある。この絵を見るためだけでも行く意義があろう。ほかに訪ねたリクヴィル、リボーヴィル、オベルネもそれぞれに良い町だった。あまり日本人の団体客が行かない地方であるのも好ましい。

ドイツとフランスの狭間の都市 ここで団体ツアーを離れ、5日間個人旅行をした。ストラスブールで2日間。「プティ・フランス」と呼ばれる運河地域を何度歩き回ったことか。今度の旅は水の旅だったといっていい。この町は若い頃敬愛したアルベルト・シュヴァイツァーが生まれ、活躍した町で、私にはドイツのイメージがある。事実フランスとドイツの文化が混淆している。ビールも美味しく、料理もドイツ風だ。ゴシックの大聖堂は素晴らしい。じっくり内外を見たし、天文時計も2度見た。塔にも登った。欧州議会が開会中で、ホテルに泊まる人口がふくれあがっていた。国際色の濃い町だ。

エッツェンロートに里帰り ストラスブールから列車でドイツに入り、昨年1ヶ月を過ごしたエッツェンロートで、友人ヒルデガードと再会、彼女の家で3日を過ごした。その間パーティ2回で、昨年知り合った友人たちほとんど全員と会った。ここはもう第2か第3の故郷になったみたいで、ついでに里帰りしてきたような気がする。

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コメント

初めてのコメントが「お帰りなさい」というのもなんだか妙ですが、無事のご帰国おめでとうございます。
どうやら楽しみ・思い出盛り沢山の旅であったご様子。文章から伝わってきます。私もあと10年ぐらいしたら、こんな旅をしてみたいと思っています。
またブログの方も楽しみに読ませていただきます。

投稿: Jack | 2008/04/30 16:21

Jack さん

ブログをお読みいただいているそうで、ありがとうございます。

海外旅行をしていつも思うのですが、実社会をになっている働き盛りの人が、仕事を離れて外の世界を見てくることが、いろんな意味で役に立つだろうということです。賞味期限が幾ばくしか残っていない年寄りとか、亡くされた夫の遺したもので買いものツアーをするご婦人方とかが旅行社のお得意さんですが、空しいな、とふと思うことがあります。

これから、もっと元気の良い世代が退職者としてふえてくるにしたがい、第2の人生を自由人(自遊人、と私は書くことがありますが)として、遊び、考え、思うところを書いたり、描いたりする活動で、自己表現、自己実現する人が出てくるだろう、そうなると海外に出かける人のあり方に変化が出てくるだろうと期待しています。

投稿: アク | 2008/04/30 20:54

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