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2008/10/30

しばし東京にて芸術の秋

 7日間ほど東京にいた。ブログの書き込みのできないネット環境だったので、こちらも、サブの「雑記帳」も、空き家状態にしてしまった。iPhoneから「雑記帳」のブログサイト:Bloggerに、写真やテキストを送ることができるソフトがあり、それを試してみたのだが、うまくいかなかった。書き込んだのだが、届かなかった。ゆくゆく何とかこなしたいと思っている。

 7日間、あれこれのスケジュールがずっとあった。うまく繋がっていたともいえる。連日、日によっては二つ三つの用件があったりして、充実した1週間だった。絵の展覧会二つ、コンサート一つ、写真仲間との撮影会一つ、アップルストアで技術相談の予約取り1回、本番1回、あれこれの友人との会食四回、夫婦での外食数回などであった。忙しく時間を過ごしたので、東京に出たときの恒例である、書店でゆっくり時間を過ごしたり、カメラやパソコンなどの新製品を見に行ったりという機会がなかった。

 上野公園に2度行った。展覧会とコンサートのためだった。週日でも人出が多かった。その人出にはあきれるほどだった。フェルメール展を見に行った日(火曜日)など、JR上野駅公園口から東京都美術館まで、ずうっと人の流れが続いていた。上空から見たら、まるでアリの行列だね、と冗談を言った。その流れの行きつく先、フェルメール展は30分待ちで入った。適当な時間間隔を置いて入場制限をしているとはいえ、会場には人が溢れていた。お目当てはわずか7点のフェルメールの絵である。それぞれの作品の前には何十人もの人垣ができている。その人のかたまりがなかなか動かない。けっきょく人の肩越しに背伸びしてチラリと見る程度でがまんした。負け惜しみではないが、どれもかつて見たことのある作品だ。特にアムステルダムから来ているのは、ついこの春、じっくりと観てきたものだ。「ああ、はるばる日本の人々にお目見えしに来てくれたのだな」と、それがここにあることを確認して、それだけで充分だった。

 それにしても、今回のフェルメール展で一番期待していた「絵画芸術」が直前になって、来ないことになったのは、残念だった。フェルメールの作品といえば、三本の指に入る作品だろう。私はこの絵を、はばかりながら自分のフォトギャラリーの扉絵に使っている。来ていれば、今回のフェルメール展のハイライトとなる作品だった。かつてロンドンで空前の規模のフェルメール展が開かれたとき(2001年)に観ているのだが、是非再会したかった。

 一番目に展示してあった「マルタとマリアの家を訪れたキリスト」の絵は、思い出深い。エディンバラの美術館に見に行ったとき、常設展示されていなかったので、ぜひ観たいと学芸員に依頼したところ、収蔵庫に私たち夫婦を案内してくれて、収蔵棚から引き出して、見せてくれたものだ。30分ほど、どうぞゆっくり見てくださいと放置された。そんなにして見たことで、私たちにとっては特別なフェルメールの作品である。ロンドンでも見たからこれで三回目だった。初期のものであり、フェルメールらしさがまだ完成していない、どちらかというと大味の作品だが、テーマといい、大振りの人物像のダイナミックな配置といい、フェルメールとしては桁外れに大胆で印象深い。

 別の日、コンサートのあと、夕食までに時間があるからと、友人夫妻と一緒に、時間つぶしに入った「ハンマースホイ展」は、思いがけなくいいものだった。絵描きとして名を残そうとするなら、人目を惹くような題材を選び、特徴のある表現手段で作品を造り上げようとするのが常識的な考えだろう。この人の絵は、その反対をいっているように見える。まずとうてい画題にならないような部屋の片隅の壁とかドアなどを淡々と描いている。それも沈みきった色合いで。人物が描かれていても後ろ姿。特に自分の妻の後ろ姿を繰り返し描いている。この人の心象はどんなものだったのか。しかし、その控え目で目立たない絵がもつ静謐さが見るものの心に訴えてくるのである。じっくりと眺めてみたいと、このところ買うのをやめてしまっていた展覧会目録を今回は例外として買ってしまったほどだ。かつては展覧会を観た記録として必ず目録を買っていたのだが、もう老い先は長くない。身辺を整理していく段階に入ったという自覚から止めていたいたのだった。

 コンサート、あれこれの友人との語らい、iPhoneのトラブルと解決など、いろいろあったことは、また書くとして、とりあえず留守の言い訳。

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