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2009/07/24

「政権交代こそ必要、準備不足を恐れるな」(ビル・エモット)

 今度の選挙で「政権交代」か、それに近いことになるのはほぼ確実だろう。しかし、心配はある。民主党を中心とする勢力が政権を取ったとして、彼らが本当に国政を担えるのか、ということだ。細川ー羽田政権の二の舞になり、時を経ずして再び自公政権に戻ってしまうのではないか。そしてこのような機会がまた何年か何十年か後にしか訪れないのではないか。

 そんな心配は無用との力強い応援が、英誌「エコノミスト」のビル・エモット氏から寄せられている(朝日新聞09/7/15オピニオン欄、「準備のできた野党などない」)。少し詳しく紹介したい。氏は「エコノミスト」誌の東京支局長さらには編集長を務めた知日英国人。著書「日はまた沈む」で日本のバブル崩壊を予測し、「日はまた昇る」で日本経済の復調を予測したことで知られている。

 民主党政権の登場による日本の政治の変化を期待し、民主党の経験不足、政策実現性への懸念を恐れることはないとしている彼の論をまとめると、こうである。

1.民主主義の国では選挙によって、政治に変化が起きるのは当たり前のことだが、日本は長期政権が続き、民主主義の国としては例外的な国だった。

2.しかし、今回の選挙で政権交代が現実のものとなりつつあることは、日本を愛する観察者として大歓迎である。

3.別に民主党に思い入れがあってそう言っているのではない。民主主義が効力を持つためには、政権交代が必要だからだ。より良い政権が実現するということではなく、間違った政権がチェックされることなく長く続くことの害が大きいからだ。

4.政治の安定は望ましいが、あまりに長くなると、説明責任がおろそかにされ、独りよがりになり、腐敗する。官僚機構も野放しにされたままになる。

5.英国の例。一つの政党が約10年政権を担い、交代するというのが理想的。サッチャー・メジャー保守党政権(18年)→ブレア・ブラウン労働党政権(12年)→来年たぶん保守党へ。

6.民主党に政権担当の準備が整っているか。それは間違った質問。用意ができている野党など、どこの国にもない。政権奪取直後から仕事を覚えていくのだ。

7.民主党に政策がない。これも正しくない。社会保障、道路、防衛などについて広範な政策を持っている。問題は党内にさまざまな意見があること。また財政事情からすれば、提案している政策をすべて実行はできまい。

8.世界各国の政治で、野党はどこも同じ事情にある。政権党になれば、政策の優先順位を決めて、限られた資金をどう活用するか答えが出てくる(現時点で財源が明らかにされていないという批判は当たらない)。

 9.日本の抱えている問題点に、民主党の政策は目を向けている。格差の拡大、貧困層の増大、非正規労働者の低賃金、年金、失業保険での不平等などの問題が、個人消費を低迷させ、企業の投資の足を引っ張っている。自民党政治は国主導の経済政策でやってきたが、社会福祉面では欧州諸国に遅れている。民主党はこの不均衡を変えようとしている。

 10.外交面でも期待できる。中国、インドの躍進でアジアは変わりつつある。日本では政治が停滞し、この状況に対応できないできた。民主党政権の誕生で停滞打破が期待できる。

 11.政権交代したからと行って、状況が一変するわけではない。しかし日本が変わるというはっきりしたシグナルを他国に示すことができる。日本の民主主義が機能していると訴えることができる。

 12.混乱はあるだろう。しかし新しい人材と新しい考え方をもたらす。

 13.いま訪れつつある機会は、恐ろしく刺激的だ。

いささか、買いかぶり過ぎとも思えるが、日本事情に通じた外国人ジャーナリストが、この政治状況をどう見ているか、大いに励まされる評論だ。

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