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2010/06/26

次男の結婚(1)

 46歳になった次男が、先日6月12日に結婚式を挙げた。平穏で、文字通り無事な(何事もなく日々が過ぎていく)老人の生活にとって、一大事である。このところ更新の止まっていたブログに、これぞ書くべきネタだと,久しぶりにテキスト・エディターを起動した。とりとめもなくあれこれを書くことになるが,お許しあれ。当日はまさか私が写真を撮るわけにはいかない(それでも少し撮ったが)。代行してくれた長男の撮ったものから、インターネット上のアルバム(「真二・恵子結婚式」)を編集した。以下を読まれるとき,そちらも参照していただきたい。

 披露宴の最後のシーンからはじめよう。来会の方々へのお礼の挨拶を「ありがとうございました」と切り出した次男は、そのあと言葉が続かない。直前に両親挨拶をすませ、並んで傍に立っていたので、どうしたと彼の方を見ると、涙を浮かべ、今にもオイオイ泣き出しそうな様子だ。ボケットからハンカチを取り出し渡そうとする前に、彼は礼装の白手袋で涙をぬぐっている。会場からは「がんばれ!」とのかけ声がかかる。彼の向こうに立っている新婦は,ニコニコ笑っている。

「大事にします」 やがて気を取り直した彼は、彼女との出会いから、結婚までの経緯を語り出した。学生時代のアメリカンフットボール(以下アメフトと略す)部仲間の紹介であったこと、会ったその日に,アメフトの試合に一緒に行ったこと、その日のうちに、この人こそ結婚する人だと直感したこと、3日目にプロポーズして,快諾を得たことなどを明かした。この人と出会うまで,長い期間、両親や周囲の人に心配をかけたことを話し始めると,また涙がこみ上げてきた。次男は、毎週日曜夜に電話を掛けてきて,こちらの安否を尋ね、自分の仕事の様子などを報告するのが習慣だった。その電話の最後に、母親が「何か、いい話はないの?」と尋ねるのもルーチンになっていた。やっと今その心配に答えられたと話しながら,また涙。最後に花嫁の向こう側に立つ、新婦の両親の方を向いて「この人を、一生、大事にします」と誓って,挨拶を終わった。

 46歳。純情な奴だ。わが子ながら見直した。会場は最初のうちは、どうなることかとハラハラし、静まりかえっていたが、この涙の挨拶に「いいぞ!」とか、「いちばん!」とかのかけ声があちこちからかかり、最後は笑いに包まれた。宴のあと出口に並び、帰る方々ひとりひとりにご挨拶をした際には、「いい結婚式でした」、「最後の挨拶、あれが、よかったよ」などと、何人もの人から声をかけられ、息子は照れていた。

アメフトがキーワード ここで彼とアメフトとの関わりを書いておこう。彼のこれまでの生活にとって、そして今度の結婚について,アメフトというキーワードは欠かせない。彼が筑波大学に入学し,当時は全寮制だった学寮に入ってまもなく、寮仲間となった同期生から一緒にアメリカンフットボール部に入ろうと誘われた。少年の一時期をアメリカで過ごした彼には、アメフトはなじみのスポーツだった。アメリカの研究所(私が客員研究員として、1年半余り,家族連れで滞在)のアパートには、同年代の子供がいて、彼らが遊ぶとなれば,広い芝生のグランドで,アメフトまがいのゲームに興じたものだ。大学の4年間、アメフト部で身体をぶつけ合う猛特訓を受け、ランニングバックとして試合にも出た。彼の首が異常に太いのはそのなごりである。アメフトとの関わりは卒業で終わらなかった。社会人になってからも、母校の対抗試合のたびに,万難を排して応援に行く。試合後は反省会と称する飲み会を催し、後輩たちを励ます。アメフト部は非常に結束が堅いようだ。彼は特に後輩たちの応援に熱を入れたらしく、後援会の会長役にも任じられたりもした(知らなかったが披露宴の挨拶に立った総監督がそう話していた)。

アメフトが縁 彼の口癖は一に仕事、二にアメフト、三.四がなくて、五に家庭を持てればなぁ、だった。その「五」は、仕事に打ち込み、余暇には母校のアメフト応援に力を入れる中で,どんどん遠のいていた。同期のアメフト仲間が20人あまり。彼らは次々に結婚し家庭を持った。半年か一年前に、彼がついに未婚最後のひとりになったらしい。終わりから2番目の人の結婚式で,最後に残ったイイズミを結婚させようということになったらしい。そこに居合わせなかったメンバーを含めて全員に,誰かいい候補者はいないかと問い合わせた。遠く札幌に住むKさんが,そういえば俺の元部下に才色兼備のいい子がいると思い出し、紹介してくれた。それが次男、真二が結婚することになった恵子である。損保会社に事務職として勤めていたが、社内リクルートに応じ、新システムを全国支店に普及させる教育訓練グループのリーダーを務めている。元上司Kさんに「男嫌いか」と問われるほど、男性には見向きもせず,仕事をしてきた人らしい。イイズミに紹介するのはいいが、果たして彼女がその気になるかと疑っていたと、Kさんは主賓挨拶で打ち明けていた。

裸で祝福 披露宴でのアメフト仲間のお祝いの仕方は手荒いものだった。司会者からマイクを奪ったリーダーが全員登壇を命じ、まずアメフトで鍛えたバディを見せようと言い始めた。事前に真二が、連中は酒が回ると何をやらかすか分からないと怖れていた出し物の開始のようだ。私も噂で、アメフト関係者の結婚披露で極端な場合、全裸となり,花婿まで脱がせることもあると聞いていた。何が始まるか。リーダーは二人を指名してバディを見せろと指示した。一人は見事なバディの持ち主で,ボディビルダーのように筋肉を誇示して見せた。もう一人は主賓のKさん、飲んで胸まで真っ赤になった裸体を見せた。対照の妙が笑いを誘った。続いて新郎新婦まで呼び出し、横一列に肩を組んで校歌を歌い、最後には独特の所作で万歳を三唱して終わった。場所柄(明治記念館)もあり、参会者の過半を占める女性客(恵子さんの友人、知人)に遠慮したのか、怖れたほどの過激な出し物に至らずにほっとしたのだった。このあたりは先に紹介したネット上のアルバムに収められているのでご覧いただきたい。

明治神宮での挙式 時間を遡る。披露宴の前に行われた明治神宮での結婚式。例年なら梅雨入りしていてもおかしくないこの時期、天候を心配した。しかし当日は快晴。初夏の日射しに神宮の森は緑が映えていた。控え室で着付けを済ませた和装の新郎新婦。新郎は羽織、袴。新婦は白無垢に綿帽子で高島田を隠す。烏帽子姿の神官と、二人の巫女に先導され、新郎新婦を先頭に両家親戚の婚礼の行列が、門から入り、拝殿へ向かって境内を行く。新郎新婦には後ろから大きな傘が掲げられる。晴天ともあって多くの参拝者たちが,好奇の目を光らせる。デジカメや携帯でカシャカシャと撮られる。その中を粛々と歩む。2時半過ぎ、すでに傾きはじめた日射しが燦々と照る。暫時晴れがましくもこの場の主役になったような気分。新郎の後ろを歩きながら、真二が明治神宮で挙式したかったのは、この高揚した気分の中で自分たちの結婚を祝いたかったからなのかな、と考えた。厳かな神式の結婚式。わが家はクリスチャンの家系なのだが(私の父、祖父とも牧師であり、大多数の親族はクリスチャン)、この日,神式の結婚式もいいものだと思えた。神官の祝詞、笛と琴の奏楽、儀式の段取りなど,このようにして日本人は古代から脈々と、かむながらのみち(惟神の道)にしたがって,婚儀を固め、祝ってきたのだと実感した。習俗としてそれに従うのも悪くない。

 特に巫女が鈴を振り鳴らしながら悠然と舞い、新郎新婦と参列者を祝福する姿には,天照大神の天の岩戸の古事や、古代朝廷における額田王の役割などを思い出していた。

神式に抵抗感があったが 私ら世代は(少なくとも私は)、神社に心理的抵抗感を持つ。神社を避けたい気持がある。神社が国家神道として君臨していた戦前・戦中に幼い時代を過ごし、天皇を現人神(あらひとがみ)と教えられ、神社参拝を強要されたりしたからだ。しかし,戦争を知らない今の若い世代には、そんな感覚はないようだ。逆に最近では神社がブームとなっているとも伝え聞く。ブームはともかく、日本文化における神社の存在には注目する必要があるな。息子の挙式のおかげで少し見直す気になった。この息子は、初詣には行くし、神社参拝もするようだ。この日、着替えの前、境内で出くわし、どこに行くのかと尋ねたところ、挙式の前に,参拝を済ませてくると言い、拝殿のほうに向かった。その時はいったい何を考えているのかと思ったのだった。

 だらだらと書き綴ってきたら、長くなった。ここらで切って一つのエントリとしよう。もう少し、続けて書きたいことがある。

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コメント

アクエリアン様

ご子息のご結婚心よりお喜びいたします。待ってこられたご両親様のお気持ちは一入のことでしょう。

神様は一神教と八百万の神とで異なるところがあるかもしれませんが、その背後にある人の心は同じです。それぞれに良いものがありますね。

写真も拝見しました。良き日を迎えられたご様子に改めてお喜びを申し上げます。

柳絮

投稿: 柳絮 | 2010/06/26 17:47

柳 絮 様

ありがとうございます。
早速のコメントをいただき、写真も見ていただいたそうで、恐縮至極です。

投稿: アク | 2010/06/26 18:48

アク様


・・・ははあ・・・
これがアレですね。
すばらしいブログ読ませていただきました。

息子さん幸せですね。
お嫁さんも・・・・
私までうれしくなりました。

「この人を、一生、大事にします」
言った息子さん偉いですね。
いまどきないです。
余計に感動・・・・こころがこもっていますね。


ずいぶん昔、私の元ダンナ様はこういいました。
「この人を一生大事にしたいですが、
保障はできません」最初から自信なし・・・
結果は・・・・・・笑
なんだかなつかしくなりました。

最近は、アク様の「おはぁ」を楽しみに
あさから呟いています♪
続編楽しみにしています。

投稿: 中尾 | 2010/06/27 06:38

驚くほど久しぶりにお邪魔しましたところ、なんとまぁ嬉しいお話でしょう!
おめでとうございます!
小躍りするほど・・・と書いておられたお気持ち、よくわかります。

お写真の中で、輝いていらっしゃる新郎新婦は勿論ですが、美しく年を重ねられた美耶子さんの存在感に感服しました。素敵ですね。

我が家はすでに2人の子どものある長男が寺のことをやってくれないので、わたくし一人で法務をしています。89才の父はここ3ヶ月のうちに、介護される老人に突入しました。

投稿: 沙羅 | 2010/06/30 22:53

沙羅さん

お久しぶりです。ほんとに。

絵は続けて描いておられるのでしょうね。
玄関に架けてある沙羅さんの絵を見ながら、ときどき思い出しています。

遍歴のほうも?

投稿: アク | 2010/07/01 08:59

アクさん

絵を見て思いだしていただけるなんて光栄の至り、とっても嬉しいです。

制作は、多忙の中にも何とか時間を捻出して続けています。来年の4月29日から1週間ほど、名古屋で個展をする予定でギャラリーを押さえました。秋には毎年のグループ展がありますから、こちらは待ったなしです。

うふふっ、遍歴ですか? このところ落ち着くところに落ち着いています。

投稿: 沙羅 | 2010/07/01 18:42

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