届かなかった手紙
「おれ、お前に打ち明けることがあるんだ」。つい先日、高校の在京同期会の忘年会にでたときのことである。何ごともあけすけに話して憎めない「ボッチャン」というあだ名の友人が、今回もカラッとうれしそうに話しはじめた。この人のことは2年半前にここに書いたことがある。それに目を通してから、以下を読んでいただくといいだろう。「お前が転校してからさ、すぐのことだったんだけど」。そう、僕は高校3年になって間もない6月、突然の転校をしたのだった。「同期の女の子がおれに頼みがあるといってきたんだ。お前に手紙を送り届けてほしいと」。転校後、僕は近況をクラス宛ての通信として何度か送っていた。その地方では有数の進学校の仲間に東京での受験事情などを伝えれば、少しは役に立つかと思ってのことだった。多分そのことを知って、クラスの代表株のボッチャンに頼めば、僕に手紙を届けられると思ったのだろうか。「いいよ、と引き受けたのだけれど、おれ、けっきょくお前に送らなかったのさ」。こんなことを平気な顔をしていえるのが、この人なのである。
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